12年9月20日、京都市左京区の路上で、同志社女子大学の男性職員・Aさん(36)が包丁で刺され、殺害される事件が起きた。殺人容疑で逮捕されたのは、同じ大学の職員で、教育・研究推進センター次長を務めていた元文部省官僚の天野祐一被告(59)だった。
「天野被告は、かつて不倫関係にあった同僚の女性職員に執拗なストーカー行為を繰り返した末、探偵を雇って元交際相手の行動を調べていました。Aさんは女性に相談され、天野被告に注意したところ、2人の仲を邪推した被告に、殺害されたんです」(地方紙記者)

検察の陳述や女性職員の証言によれば、天野被告が女性から別れ話を切り出されたのは11年の3月だった。2人は互いに家庭を持ちながら、08年頃から交際を続けていたが、天野被告が女性の携帯電話を勝手に見たという理由から、破局を迎えた。

関係を諦めきれない被告のストーカー行為が、ここから始まる。女性の自宅近くに車を停める、夜中に呼び鈴を押す、非通知にした携帯や公衆電話から頻繁に電話をかける。さらには探偵を雇って女性の行動を逐一、監視するまでにエスカレート。そのとき、女性の相談を受けたのがAさんだった。

「あなたのやっていることは犯罪ですよ」と、Aさんは天野被告をたしなめたという。だが、話せばわかるといった感覚が通用しないのがストーカーである。
「2人の接近を妄想した被告は"女性とAさんを引き離したい"と考えるようになっていきます。12年9月には、嫌がらせのために、Aさん宅にあった車のボンネットにブロック片を力任せに投げつけたとか。だが、防犯ブザーの警報音が鳴り響いたとき、"車が壊れたら、女性がAさんを職場まで送り迎えするのでは?""引き離したいのに、それでは本末転倒だ"……と、なんの根拠もない妄想から殺意が生まれたと言うんです」(裁判ウオッチャー)

昨年4月、裁判員裁判の被告人質問で証言台に立った天野被告は、「私の強い執着心が(事件の)原因だと思います」と振り返ったが、被告に奪われた尊い命は、もう二度と戻っては来ないのだ。

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