プチ鹿島の連載コラム 「すべてのニュースはプロレスである」

私は東出昌大を見るたびにジャイアント馬場イズムを思い出す。

元々モデルだった東出昌大(26)は「桐島、部活やめるってよ」で役者デビュー。わずか2年前のことだ。そのあとNHK朝ドラ「ごちそうさん」でヒロイン杏の相手役という大抜擢。「ごちそうさん」は杏も東出昌大もとにかくデカかった。これって、センターを張れる逸材2人を見てればそれでいいんだというジャイアント馬場イズムを感じたのだ。

柳澤健が「週刊大衆」で連載中の「1964年のジャイアント馬場」を読めばわかるが、馬場はイチローや野茂英雄より早くアメリカで大成功した日本人アスリートであった。超一流が集う華やかなメジャーで、日常にはいない規格外のスターを見せてあげるのがプロレスだと馬場は学んだ。重要なのは誰が強いとか弱いより、誰が客を呼べるのか。

スケールの大きい東出昌大。現時点での演技がうまいとか下手とかより「大器ぶり」「素材の良さ」を見ておきなさい。馬場さんならそう言ったはず。

その東出が映画「クローズEXPLODE」の主役もやっている。やっぱりデカかった。存在感もデカい。映画の中で遂に喧嘩をふっかけられ相手が突進してきた。どうする東出?と思ったら、なんと16文キック一発でKO!相手はそのまま池の中へ! ジャイアント馬場が若手時代にアメリカを席巻していたころ、16文キックはたぶんあれくらいスピードとパワーにあふれた技だったのだろう。そんな想像をさせる一撃だった。

さて「サンデー毎日」(5月4日号)のコラム「満月雑記帳」で中野翠が次のように書いていた。

「近頃、私の中では東出昌大の人気が高まっている。その、せせこましさのない、どこかノホホンとした顔立ちと、189センチという思い切った身長を好もしく感じていた」

おそらくは中野翠も東出昌大に対してジャイアント馬場イズムを感じたのである。中野は最後に「初主演作の映画「クローズEXPLODE」も公開されたばかり。予告編を観ると私の苦手なタイプの映画のような感じなのだけど・・・観ようかどうか迷っている」とも書いていた。東出昌大の「大器ぶり」に注目してるなら映画を観て損はないですよ、中野さん!誰か教えてあげて。

大型スターが大きくなる途中の楽しみ方、これもまたプロレスで学んだ。


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