田村憲久厚生労働相は11日にNHKで放送された番組で、基礎年金の70歳まで繰り下げられる受給開始年齢を、さらに75歳までのばすのもひとつの方向性としてあると発言した。

現在の受給開始年齢は、原則65歳。ただ開始年齢を遅らせる「繰り下げ受給」を選択すれば毎月の年金額が上積みされ、70歳まで繰り下げると42%増える。いっけんお得な制度のように思えるが、それも長生きできればの場合。また蓄えがない場合、生活費を稼がなければならない。いかに高齢化社会といえ、好条件の仕事が簡単に見つかるわけではないので、生活は厳しくなるだろう。年金額が増えると言っても、両手で賛成できる案ではないのだ。

しかし年金支給を間近に控えた60代ならばまだいい。今後、少子高齢化がすすんでいけば、負担と支給のバランスが崩れていく可能性は高い。負担状況にもよるが、だいたい40歳ぐらいを境に負担のほうが大きい場合が多くなる。そのような状況では、繰り下げで支給額が増えると言っても、歓迎する声は少ないだろう。

課題が山積みとなっている年金制度に不安は多い。はたして安心して老後を迎えるためには、どうすればいいのか? 生活デザイン株式会社で数多くのライフプランアドバイスを手がけてきた山田和弘氏は、今後の年金について個人で備えをするべきと話す。
「よくいわれるように、年金制度が破綻するということはないと思います。ただ受給年齢の繰り下げや、支給額が引き下げられる可能性はあるでしょう。そのためには個人年金など資産を運用にまわし、老後の生活費を準備したほうがよいでしょうね」

国は老後を保証してくれない。自分の身は、自分で守らなければならないようだ。

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