安倍首相は、いよいよ「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入へ向けて、本腰を入れ始めたようだ。そもそもこの制度は、政府に対して批判的なメディアから「残業代ゼロ(政策)」とのレッテルを貼られ、その構想が浮上するたびに、つぶされてきた経緯がある。しかし今回ばかりは、安倍首相も本気のようだ。

この「ホワイトカラー・エグゼンプション」を一言で説明するならば、1日8時間といった労働時間の規制(つまり、これを超えると残業代が支給される)を取り払い、報酬を仕事の成果に応じて決める仕組みのことを言う。具体的には、長く働いても残業代などは出ないが、成果をクリアできたなら1日8時間以下の労働でもOKということになる。

こうした公式的な説明を聞くと、なにやら働く側にとって“良い制度”のように思われるかもしれない。しかし、ちょっと待って欲しい。こうした“ニュース”の見方は、その切り口が最も重要だ。その最も重要なポイントは、そもそもこの制度の導入は誰が言い出したことなのかという点である。

この点は、はっきりしている。それは、財界・経済界、つまり企業サイドが言い出したことなのだ。そうなるとその狙いは結局、企業としては、人件費を圧縮させたいのだ。これは働き手にとって、マイナスに作用することは間違いない。

しかし物事には、何でも良い面、悪い面、つまり両面ある。企業にとって人件費削減につながるということは、企業業績にとってみれば間違いなくプラスに作用する。制度を導入する企業が上場企業ならば、株価上昇につながるのだ。

そうなってくると、制度が導入された際には、その恩恵が大きく期待できる医薬品会社の株が狙い目になってくるだろう。ぜひ、注目していただきたい。


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