日本の周辺国が、のっぴきならぬ状況となっている。

約300人の犠牲者が出た韓国のフェリー沈没事故で、政府や行政のたび重なる不祥事が被害を拡大させたとして、5月19日、朴槿恵(パククネ)大統領が涙を浮かべて国民に謝罪。
海洋警察庁を解体する事態にまで発展した。

一方、南シナ海での領土に関する中国の強硬な姿勢がベトナム民衆の反中デモを招き、20人以上の現地中国人が死亡。
その"戦火"は収まりそうにない。

「両国内で高まる不満は政権運営に支障も出かねない状況で、その対策として、"反日活動"をさらに強くしかねない」(国際評論家)

これを迎え撃つ安倍晋三首相だが、「事を収めるどころか、むしろ、火に油を注いでいるようにも見えます」(前同)

こんな危うい関係に嫌味のひとつも言ってやりたくなる日本国民の感情を"毒舌ジョーク"で表す御仁がいる。お笑い界の大御所にして、世界に誇る文化人であるビートたけし(67)だ。

「今、たけしさんの中韓論が注目されていて、テレビや雑誌で発言するたびに大きな反響があるんです」(広告代理店社員)

その一つが『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)の4月14日放送での発言。

今年3月の日米韓首脳会談で、安倍首相が韓国語で朴大統領に話しかけたものの完全無視されたことに、「これは、安倍さんと朴さんの側近の駆け引きかもしれないよ。(朴大統領の側近が)"安倍さん、ここは韓国語で挨拶したほうがいいですよ"なんて言ってたら、"おい、なんだよ、滑っちゃったじゃねェかよ、いい加減にしろよ"な~んて。裏で本当に大ゲンカになってたりしてな」

続いて、5月12日放送の『TVタックル』では、何かというと安倍政権の歴史認識に"イチャモン"をつける中国に対して、「だいたい中国は、なんで(イギリスから)アヘン戦争の賠償金もらわないんだって、いまだに思っちゃうよなあ。そもそも、おかしいじゃないか、あれだけやられたのに!」

日本には文句を言いながら、同じような立場にあったイギリスに黙っている姿勢を痛烈批判。
これには、共演者が大喝采を送った。

こうした切れ味鋭い意見を繰り出すたけしだが、番組中は意外と論客たちの話に耳を傾けることが多い。

たけしが所属するオフィス北野の森昌行社長によると、「『TVタックル』の場合、予(あらかじ)めテーマや資料が送られてきますが、たけさんは、それについて事前に情報収集するタイプじゃないんです。それに、普段から週刊誌なども買いませんね。たけさんは情報に頼ると、逆にそれに振り回されて、自分の考え方を持てなくなると思っているんですよ」

そのため、普段、目に入る情報や広告でも、本質がどこにあるか見極めようとしているという。

「そして収録となれば、まずは論客たちの意見を聞く。それで、"核心はここだ"というポイントになったら、自らの意見を発するんです」(前同)

なるほど。
さすがは各紙誌の「首相にしたい著名人」アンケートでナンバーワンに輝くだけあって、その深謀遠慮ぶりが窺える。

では、もしも"殿"が日本のトップに就けば、中国、韓国に対して、どのような政策を見せてくれるのか。

その発言から探ってみよう。

まずは対中政策――。
中国の環境汚染が原因で発生し、国境を越えて吹き荒れるPM2・5。
周辺諸国にすれば迷惑甚だしい話だが、この環境汚染対策について、たけしはかつて『週刊ポスト』の連載コラム(以下、《》内はすべて同)で、《中国じゃ日本製品のボイコットが続いていたはずなのに、PM2・5の問題でニッポン製の空気清浄機がバカ売れしてるっていうのも笑うよな。対抗して中国でもガンガン空気清浄機を作ろうとして、その工場の煙でさらに大気汚染が進んだりして(笑い)》

と毒舌を吐いていたものの、『TVタックル』では、「中国に(環境に関する)技術を提供したらいい」と真面目に提言。
ただし、「そんなことしたら、また(日本の技術が)盗(と)られちゃうな」と皮肉ることも忘れない。

そして、最大の外交課題である尖閣諸島を巡っては、タレント・壇蜜を全裸で尖閣周辺に配置してM字開脚などをしてもらうことで、《中国の軍人は、「こんなことやってるのバカバカしいアルよ」「オレもニッポンに行きたいアル!」って戦意喪失しちまうんじゃないか。(中略)軍事力で立ち向かうんじゃなく、エロを使って平和的に逆襲する》と主張するのだ。


国境を越える絶対的な支持!

それでも中国が強行な姿勢を崩さないなら、《こっちだって出るところ出ようじゃないかってね。「ラーメンはニッポン固有の食いもんである」って宣言するところから初めてさ。中華料理も全部締め出しちまえってね。(中略)中国が金儲けの道具に使っているパンダも全部送り返しちまえってね。白髪染めでパンダを真っ黒に塗りつぶして、「ただのクマじゃねェか」ってクレームつけてさ》

ちなみに、中国雑技団の日本公演も禁止し、北京ダックや広東麺を作るのも御法度。
さすがは殿、困惑する中国人の顔が目に浮かぶではないか!

一方、対韓政策の最大懸念事項、靖国参拝問題でも"たけし節"が炸裂する。

「そもそも、日本人の精神構造の問題だろ、靖国問題ってのは。靖国で会おうと言って死んでいった兵隊に何の罪もないもんな。最大の問題はA級戦犯の合祀の問題だけどさ、それは日本人の死に対する考え方であって、いかに悪い人でも死んでしまった人には頭を下げるんだよ。それとは別に戦争を起こした責任を深く反省してるもんな」(『TVタックル』にて)

靖国参拝を擁護しながらも、"タカ派"なだけのどこかの首相とは違う重みが感じられるが、その理由は、たけしに相手への謙譲の心があるからかもしれない。

「釜山映画祭に呼ばれて行ったときのこと。"今日は韓国のクロサワと呼ばれている人が来てる"っていうんで礼儀正しく接していたら、相手が"たけしは俺を立ててくれてる"って感謝してくれて話が弾むわけ。国と国との関係だってそうだろ」(前同)

ちなみに、かつての韓国では日本の映画、ドラマ、音楽の輸入が禁じられていたが、1998年に解禁。

そして、初めて韓国で上映された映画が北野武監督の『HANABI』。
それだけ、たけしは韓国国民に絶大な支持があるというわけだ。

そして、たけしの映画作品に関しては、『TVタックル』に出演した中国出身の女性が率直な思いを語る場面もあった。

「数々のヤクザ映画を世に送り出すたけしさんに対し、"私もヤクザになりたい"と懇願していたんです。任きょうという怖い世界を臨場感たっぷりに描きながらも、どこか魅力的に感じさせるのは、やはり、たけしさんの"伝える力"ですよ!」(前出・広告代理店社員)

毒舌の中にも、コメディセンス、文化的知見、そして愛があるから、たけしは世界で受け入れられるのだ。

いまや、修復不可能とまで囁(ささや)かれる日中、日韓関係。しかし、日本には究極の切り札がある!

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