サッカーのワールドカップ・ブラジル大会が遂に開幕。

こういう大きなイベントが始まると「日本中が浮かれていて大事なことが見えなくなる」系のツイートがまわってくることがある。

こういうことを言う人はたぶん「自分以外はみんな馬鹿」と思っている人だ。自分以外の1億2千万人はひとつのことしか見えない。世の中のことをすべて見渡せるのは愚民でない自分だけ、という。だが安心してもらいたい。あなたが心配しなくてもプロレス者は世の裏に気を配っている。

いや、プロレスという辺境にあるものを中心に見ている時点で目線は「世間の裏」にならざるを得ないときが多い。たとえ真正面な興味でも。

きのう、W杯で日本がコートジボワールと初戦をおこなった。日本時間で日曜の午前。どう考えたってサッカーが中心だ。

しかしこの日、昼から始まる全日本プロレスのダイナマイトシリーズ開幕戦のほうが気になって仕方なかった人たちが世の中にはいるのである。

別に斜にかまえているわけではない。逆張りを気取っているわけでもない。プロレス者にとって重要な日だったのだ。

というのも、全日プロレスの運営はここ数年まさに混迷していた。2年前に「白石オーナー」に買収されたものの、ひとことで言えば「イタい」オーナーだった。(他団体への挑発など、それこそプロレスの域を超えたとんちんかん発言は各自調べてください)

そんななか「秋山準が7月1日から新会社をスタートさせ、社長として団体を運営していく」ことが先日報道された。ただいま変革の真っ最中。
昨日は報道が出てから初の興行。こういうとき必ず「見ておきたい」と思うのがプロレスファン。野次馬根性。ザックジャパンよりオールジャパン。

昼12時スタートの後楽園ホールは大方埋まっていた。つい10分ほど前までサッカー日本代表の試合をやっていたから、ここにいる人たちは当然見ていないことになる。すぐ隣の東京ドームでは日本戦のパブリックビューイングが開催され、3万5000人の大観衆が集まっていたという。お互い近くて遠い別世界。

興行が進み、13時頃になると遅れてきて席に着く客が目立った。おそらくこの人たちはサッカーを最後まで見てから到着したのだろう。

13時16分。休憩明け。私の後ろの席にいた30~40代の男女の会話が聞こえてきた。「日本負けたって」「へー」。これで終了。

13時47分。鈴木鼓太郎選手が試合後に「サッカーは負けてしまいましたが全日本プロレスを応援してください」とマイク。「え?」というリアクションがちらほら。

メインイベント。大森隆男が三冠王座を初奪取。「全日本プロレスはみんなのものだ!」と宣言。見事なゴ~ル。

ちなみに大森選手は春の「チャンピオン・カーニバル」というリーグ戦でも優勝している。このとき初戦は黒星だった。

だからザックジャパンも大丈夫だと思います。

たぶん。

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