本の表紙である装幀には、一般に紙や布、動物の皮が使われる。しかし中には樹の皮やミノムシの巣など、変わった材料で作られた装幀の本があり、「下手装本(げてそうほん)」と呼ばれてきた。今回、アメリカマサチューセッツにあるハーバード大学の図書館で見つかった下手装本の材料は、その中でもかなり変わったものだ。なんと人間の皮が材料に使われているのである。
見つかった人皮装幀本は2冊。装幀が変わっているということでDNA鑑定をしたところ、99.9%の確率で、人間の皮であることが判明したのだ。その中の1冊は19世紀に作られたフランスの作家アルセーヌ・ウーセが書いた「魂の運命」。ウーセが医師だった友人に送ったもので、その友人が精神疾患だった女性患者の皮膚を使って装幀を作った。本には「人間の魂についての書籍には、人間の装幀がふさわしい」というメモが残っていたという。
人皮装幀は17世紀頃に作られ始め、解剖された死体の皮膚で作られた解剖学テキストや、遺言により故人の皮膚で作られたもの、または有罪判決を受けた殺人者の皮膚を使って綴じた裁判記録など、さまざまなものがあり、当時は人気だったという。
ちなみにこの人皮装幀、見た目も手触りも動物皮の装幀と、ほとんど違いがないとのことだ。

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