6月9日、愛知県豊橋市の海岸でサーフィンをしていた43歳の男性が左上腕をサメに噛まれ、30針を縫う重症を負った。
男性は海岸から約30メートル、水深約1メートルの浅瀬で波を待っていた時に突然噛みつかれ、サメが口を離したすきに自力で海岸まで戻ったとのこと。サメは頭部が人間の頭ぐらいの大きさとのことだが、種類まではわかっていない。現地の消防本部ではこの事故を受け、海岸に「サメ目撃情報あり!」と書いた看板を立てて注意を呼びかけている。

毎年、海水浴シーズンになるとサメの事故が報告される。日本の近海に住むサメについて、サメの情報発信の専門家、シャークジャーナリストの沼口麻子氏に聞いてみた。
「日本の近海には本当にたくさんの種類のサメがいます。おとなしいサメがほとんどですが、人を襲う種類ではイタチザメがいます。一般的に凶暴といわれているサメの中にはホホジロザメやアオザメがいますが、沿岸域における目撃例は、イタチザメと比較すると少ないのです」(沼口氏)
なんと体長が5メートル以上にもなるイタチザメは海に浮いているものに噛み付く習性がある。ウミガメが好物で、その強力なアゴの力で硬い甲羅も噛み砕いてしまうという。サーフィン中に襲われる事故が多いのも、そんなイタチザメの習性が影響している。海中から見ると、パドリング中のサーフボードは、まるで浮いているウミガメのように見えるからだ。もし海水浴中に、このような危険なイタチザメに出会ったらどうしたらよいのだろう?
「もし近づいてきたら、すぐに逃げる以外ないですね。ただサメと遭遇する機会というのは、決して多くありません。ある人によれば、サメに襲われて死亡した例は、確率でいえば宝くじの1等に6回連続で当たるのと、ほぼ同じだと聞いたことがあります」(沼口氏)
とはいえ、サメと遭遇する確率はゼロではない。怪しげな魚影を見かけたら、くれぐれもご注意を!





沼口麻子(ぬまぐちあさこ)プロフィール
サメ専門ジャーナリスト 東海大学海洋学部大学院出身。小笠原諸島周辺に出現するサメの調査などを手がける。次世代の子どもたちにサメの魅力を伝えるため、サメのワークショップなどを開催している

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