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大昔、中学生のころに水の中に電極を挿れて、水素と酸素に分解したの、覚えてます? いわゆる水の電気分解っていうヤツですけど、コレ逆に考えると、水素と酸素を合体させると、電気ができるってことですよね。

それを現実に利用できるようにしたのが「燃料電池」ってヤツです。電池って名前はついてますが、貯蔵した水素と空気中の酸素を反応させて電気を作る、発電機みたいなものです。

この燃料電池で作った電気で、モーターを駆動させ走るクルマが「燃料電池車」です。誤解されがちですが、水素を直接燃やしたりして走るわけじゃないんですねえ。

昨年の東京モーターショーで、“世界のトヨタ”が次世代燃料電池車のコンセプトモデル「FCV」を発表しました。深い青空のようなボディ色、フロント部分の冷却用空気を取り込む巨大エアスクープ、特徴的なヘッドライト、流れるようなパネルライン……。えらいカッコよくて、まさかこのまま市販はされないよなあ、と思っていたら、去る6月25日、東京・江東区のトヨタショールーム・メガウエブにて、そのまんまのカタチの市販燃料電池車「FCV」が公開されちゃいました。世界が注目してるだけあって、テレビや海外メディアも来てましたよ。すごいことですね。

このトヨタのFCV、航続距離は水素満充填でなんと700キロ。さらに走行中はガソリン車と違い、排出するのは水だけという究極のエコっぷり。気になる水素充填時間も3分程度と、ガソリン給油と同レベルだといいます。走行感は低速で力強い出力特性。今後、トヨタグループとしては、燃料電池バスや家庭用定置式燃料電池エネファーム、FCVフォークリフトなどの技術開発に取り組んでいくんだそうです。

発表を司ったトヨタ自動車の副社長・加藤光久氏によると、14年度中に全国のトヨタ店、トヨペット店にて市販予定とのことで、気になる価格は700万円程度。「高い!」とお思いでしょうが、レクサスの最高級ラインであるLS600h Ver.Lは1285万円ですからね。それよりも580万円ほど安い設定です。

まあハイブリッドがこれだけ普及するのに10年ですから、2024年くらいには180万円くらいになってて……ほしいですよね。ちなみに電気を作るのに必要な水素は、水素ステーション(!)で補充するらしいです。もうほんとSFの世界ですな。

水素ステーションの普及や価格面も含め、庶民の我々に燃料電池車が届くのにはもう少し時間が掛かりそうですけど、水素で動くクルマだなんて、なんだかワクワクしますよね!



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92年から開発の始まったトヨタの燃料電池車。これは08年からリースされている7代目モデル。実はトヨタは20年以上も燃料電池車の研究、実地試験をしてたんですね。


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発表会で壇上に立つのはトヨタ自動車の副社長・加藤光久氏


(写真:伊藤貴信)

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