先週15日、大手不動産会社の「三菱地所」が、東京、千代田区大手町の地下から温泉の採掘に成功したと発表した。

三菱地所は、"三菱村"と称される大手町・丸ノ内エリアにおいて、最大の大家として知られる企業だ。温泉が出たのは、その三菱地所が現在、大規模な再開発を進めているエリアにおいてだ。とはいっても、この温泉が湧き出したという話は、何もたまたま偶然ということではない。

三菱地所サイドとしては、再開発を進めるにあたって最初から狙って、温泉採掘に挑んでいたといっていいだろう。

そもそも大手町・丸の内エリアは、日本を代表するビジネス街だ。そのビジネス街において、熱海や伊豆ではあるまいし、なぜ温泉が必要だったのだろうか。

その理由は、三菱地所がここ近年、総力を挙げて取り組んできた大手町・丸ノ内全域に及ぶ大再開発計画と密接に絡んでいると見ていい。

この大再開発計画に関して三菱地所サイドでは、社内向けに「丸ノ内マンハッタン計画」というネーミングを設定していたことからもわかるように、まさに社運をかけた大事業であることは間違いない。そして、その「丸ノ内マンハッタン計画」の象徴とでもいうべきビルが、大改装が完了した赤レンガ造りの東京駅の正面に位置する「丸ビル」と「新丸ビル」といえよう。

「我々が、このエリアで主たるターゲットにしているのは、世界のエグゼクティブ・ビジネスパーソン。そうした層に対して、あらゆるサービスを提供していく」(三菱地所幹部)

そして、こうしたコンセプトの中で、前述の"温泉"を捉えてみると、その役割が見えてくる。温泉の採掘に成功したエリアでは、フィットネス施設や和風の高級ホテルの開業が予定されている。そこに温泉という要素が加われば、さらに付加価値は高まることになる。三菱地所のいう「世界のエグゼクティブ・ビジネスパーソン」の間で人気を博することになるのは確実だ。

こうした三菱地所の戦略性と大手町・丸ノ内エリアの将来性を考えると、三菱地所株は、まさにお勧めといえるだろう。


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