・6月24日、池袋で脱法ハーブを吸引した男(37)が運転する車が歩道に突っ込み、8人が死傷する大惨事に。
・7月5日、東京都北区の路上で同じく脱法ハーブを吸引した男(38)が運転する車がバイクやタクシーと相次いで接触。3人が怪我。
・同15日、新宿で脱法ハーブを吸引した男(25)が運転するワゴン車が、信号待ちしていたタクシーに追突。男女4人が病院に運び込まれる。
・同16日、元神奈川県議(41)が脱法ドラッグ所持の容疑で逮捕。

連日のように、脱法ハーブを吸引したことによって起こった事故や事件が報じられている。脱法ハーブは脱法ドラッグの一種だが、そもそも脱法ドラッグとは、麻薬によく似た作用を持つ薬物のこと。例えば、大麻には「カンナビノイド」という化学物質が含まれている。これが幻覚などの精神神経反応を引き起こすのだが、脱法ハーブにも"合成カンナビノイド"というほぼ同一の精神作用をもたらす化学物質が含まれている。

しかし、違法である大麻の成分と完全に同一ではないため、その成分を分析して「指定薬物」として販売を規制する必要がある。だが、規制の対象にするまでには半年程度を要し、その間に新たな成分を用いた脱法ドラッグが出回ってしまうため、警察と販売店の間でいたちごっことなっているのが現状だ。

脱法ハーブは、煙草のように吸える手軽さや「違法なものではない」といった安心感から、若者たちを中心に蔓延。何よりも恐ろしいのは、脱法ドラッグは極端なものでは"違法"である大麻の数十倍もの効き目がある。それが"合法"として出回っているのだ。つまり、本物の麻薬よりも危険な薬物が"脱法ドラッグ"なのである。

相次ぐ事故や事件を受けて、東京都と厚生労働省などは7月10日、都内にある脱法ドラッグの販売店68店舗に一斉に立ち入りを行い、販売を自粛するように文書で警告した。

 

ところが……一斉立ち入りの数日後、当サイト記者が池袋や渋谷の脱法ドラッグ販売店を回ってみたところ、凄惨な事故が起きた池袋では店を閉めている店舗もあった(上記写真左)ものの、渋谷では「ハーブ」「新商品入荷」などと看板を掲げた店が堂々と営業中(上記写真右)。いかに取り締まることが難しいかを物語っていた。

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そんな現状を憂慮した警察庁と厚生労働省では、「脱法ドラッグ」という呼び名が「違法ではない」というイメージを持たれてしまいがちなため、新しい呼称を募集した。

そこで、当サイト記者も「類似麻薬」「第二の麻薬」「殺人ドラッグ」という3つの新呼称を応募させていただいた。そして、約8000人からの募集結果を踏まえ、警視庁は「危険ドラッグ」の新呼称を発表した。

蔓延するドラッグの乱用と、その使用によって起こった悲劇の数々。一刻も早い法整備を待ちたい。

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