6月から7月にかけて、アルコール市場で妙な“回収騒動”があった。国内ビール大手のサッポロビールが「第3のビール」として好調に売上を伸ばしていた「サッポロ極ゼロ」の製造を5月末でいったん終了して、新たに「発泡酒」として7月中旬に再発売したのだ。極ゼロは世界初のプリン体ゼロ、糖質ゼロをうたい、昨年6月に発売されるや否や稼ぎ頭として急成長。初年度は計画を6割上回る358万ケースを販売した。

事の発端は、国税当局による適正税率を確認するための情報提供。これを受け、サッポロビールでは一部の製造法を見直すとともに、極ゼロの酒類区分上の分類を、第3のビールから発泡酒へ変更。これに伴い酒税がアップし、350ml缶で約20円の値上がりを余儀なくされた。

そもそも発泡酒は1990年代中盤以降に国内で展開されたジャンル。主にビール風アルコール飲料を指し、成分や製法に工夫を加えることで、ビールより酒税を安く抑えたのが特徴だ。350mlだとビールにかかる酒税は77円だが、使われる麦芽が25%以上50%未満なら約62円、麦芽25%未満だと約46円になり、その分製品価格を引き下げられる。
2004年以降に登場した第3のビールは発泡酒以上に酒税が安く、およそ28円。原料が麦芽以外だったり、発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜているのが特徴で、安くビールに近い飲料を消費者に届けたいという企業努力により生まれたジャンルなのだ。

これに水を差したのが、国税庁の指摘。おかげでサッポロビールは、過去の販売分の酒税116億円を特別損失として計上するという。
そもそも、リッチなお役人はビールしか飲まないから、メーカーや消費者の気持ちなんて知るはずもない?

本日の新着記事を読む