村中の嫌われ者をある日、何者かが射殺!

夏休み特集 世界を震撼させた未解決事件の真相

CASE3 マケルロイ事件 1981年 アメリカ

アメリカ・ミズーリ州スキッドモア。この人口たった450人の、映画館もファーストフード店もない小さな田舎町。ここで不可解な殺人事件が起きたのは、今から28年前、1981年7月10日のことだった。

午前10時すぎ、バーから出てきたある男が頭と首を撃ち抜かれ、即死した。

そのとき、彼の背後には数十人の住人がいたと思われる。犯人は物陰に隠れて発砲したのではなく、至近距離まで近づいて引き金を引いている。

それなのに、犯人を見たと証言する者は誰ひとりとしていなかった。現場にいた人たちは判で押したように、同じ証言をしている。
「銃声は聞いたが、誰が撃ったのかは見ていない」
まるで透明人間による犯行のようだ。

地元警察は容疑者を割り出すことさえできなかったため、ついには、FBIが乗り出した。しかし結果は同じ。

ただ、事件を担当した捜査員は住民の態度に違和感を覚えた。被害者に同情したり、犯人に怒ったりする者がひとりもいないのだ。犯人が捕まらないことを不安がってもいない。全員が淡々と事件を受け止めていたからだ。

じつは被害者のケン・レックス・マケルロイは、住民に蛇蝎のごとく嫌われていた。彼はこの町の人たちを暴力で支配する、ならず者だったのだ。

他人の農場に侵入して作物や家畜を盗み、売りさばくなどは日常茶飯事。訴えられると殴る蹴るの暴行を加え、ライフル銃を突きつけて「殺すぞ!」と脅し、告訴を取り下げろと迫った。

他人の妻を寝取り、まだ12歳や13歳の少女をたぶらかしては妊娠させた。
また、自分の妻には毎日のように暴力をふるった。少しでも文句をいうと、鼻骨を叩き潰した。耐えかねた妻が逃げると、実家に押しかけて父の足をライフル銃で撃ち、家に火をつけた。

雑貨屋でキャンディーを万引きしたマケルロイの子供に店員が注意すると、その店に怒鳴り込んでショットガンで店主を撃ち、重傷を負わせた。

もちろん逮捕、起訴されたこともある。だが、そのたびにお抱え弁護士に保釈手続きを取らせ、公判までの間、ずっと関係者を脅し続けた。

「もし俺に不利な証言をする者がいたら、一家全員切り刻んでやる」
というわけだ。住民たちは、あの男なら本当にやりかねないと震え上がって証言を拒否。その結果、マケルロイは無罪になっている。

彼はこの町で、そんな傍若無人な振る舞いを20年以上も続けていた。嫌われて当然、「いっそ死んでしまえばいいのに」と思われていたことだろう。

結局、この事件の犯人は不明のまま。警察もそれ以上捜査をしなかった。
事件後、マケルロイの家族はスキッドモアを追われた。住んでいた家は原因不明の火事で消失。現在、彼の痕跡は町から完全に消えうせている。

本日の新着記事を読む