電話やデータ通信のため、世界各国をつないでいる海底ケーブル。現在、Googleも投資しているアジア・アメリカ間の大容量転送ケーブル敷設がすすめられているが、そのプロジェクト達成に大きな懸念要素があるという。なんとケーブルをサメがかじってしまうというのだ。

「海底ケーブルをサメがかじってしまうということは、これまでにも何度かありました。被害にあった電話会社が調査したところ、サメの歯型らしきものが残っていたということもありました」
サメの情報発信専門家、シャークジャーナリストの沼口麻子氏によると、海底ケーブルのみならず、調査船の観測機器や潜水艦に噛み付いてくるサメもいるというから驚きだ。
このケーブルをかじる犯人、てっきりカグラザメなどの深海ザメと思いきや、そうとばかりは言えないらしい。
「表層域に生息するイメージのあるホホジロザメでもおよそ1000メートル、イタチザメも800メートルほど潜ることが確認されています。海底ケーブルをかじるサメの種類を特定することは難しいですね」
ではなぜサメは生き物ではない海底ケーブルに噛みつくのだろう? 沼口氏はその理由を、サメが持つ第六感、ロレンチーニ器官が原因ではないかと推察する。
「サメは頭部に生物が発する微弱な電流をキャッチする、ロレンチーニ器官という感覚器があります。これを使って獲物かどうかを判断するのですが、おそらく海底ケーブルから漏れる微弱な電流をキャッチして噛みついているのではないでしょうか」

サメからケーブルを守るには、今のところ丈夫にするか、電流が漏れないようにしっかりコーティングするというアナログな方法しかないようだ。最先端の技術といえど、サメのひと噛みにはかなわないのである。

ケーブルに襲いかかるサメ。沼口氏によるとカグラザメの一種ではないかとのこと





沼口麻子(ぬまぐちあさこ)プロフィール
サメ専門ジャーナリスト 東海大学海洋学部大学院出身。小笠原諸島周辺に出現するサメの調査などを手がける。次世代の子どもたちにサメの魅力を伝えるため、サメのワークショップなどを開催している

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