テニスの全米オープンで、日本人選手として96年ぶりの準決勝進出という快挙を成し遂げた錦織圭は、米国時間6日(日本時間7日)に世界ランク1位で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦した。

この両選手は奇しくも、どちらもユニクロとウエアに関してスポンサー契約を結んでいたのである。このため6日の試合は、「ユニクロ対決」という形でもファンの注目を集めることとなった。いずれにしてもユニクロとしては、願ってもない展開となったといえよう。

テレビ番組、CMのリサーチ調査を手掛ける「株式会社エム・データ」は、今大会に限定した錦織のテレビ露出状況を広告価値に換算し、その金銭的価値を約60億円超と弾き出した。(この金額は、4強進出に至るまでの試算)

加えてこの試算は、あくまでも日本国内でのテレビ露出に限定したものであるため、活字やインターネットといった他メディア、あるいは日本以外の国でのメディア露出はカウントされていない。そうしたものも含めると、その広告価値はそれこそ莫大な水準に膨れ上がることは間違いない。

ユニクロが錦織やジョコビッチとの間で、具体的にどのような内容の契約を交わしているのかについては不明だが、グローバル企業としてのユニクロにとって、一連のスポンサー契約はセールス面で大きくプラスに作用したことは間違いないだろう。

そもそも企業にとって、その種の契約金は税務上、損金(経費)としての扱いが認められることが大前提だろう。純粋なタニマチやパトロンならそうした点に配慮する必要はないだろうが、上場企業のユニクロにとってみれば、まったく広告・宣伝の価値のない選手とスポンサー契約を結ぶなどということなどあり得ないはずだ。なぜなら、税務当局に対して契約金支払いの説明がつかないからである。

そうした視点で考えれば、企業にとってスポンサー契約というのは、ある種のバクチだ。

結局、錦織は準決勝でジョコビッチを破ってみせたが、ユニクロも“バクチ”に勝った、しかも大勝ちしてウハウハ、と見ていいだろう。

だとすれば、ユニクロを運営するファーストリテイリング社の株は即買い、といえるだろう。


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