8月28日から31日の4日間にわたって行われた全国高校軟式野球選手権大会の準決勝。中京大中京と崇徳の一戦は、両チームのエースがスコアボードに0を並べる白熱の投手戦で、4日目に延長50回に突入した。

勝ったのは、50回表に3点を奪った中京大中京。同校のエース・松井大河投手の投球数は延べ709球を数え、試合時間は合計10時間18分にも及んだ。

「軟式野球は硬式と違い、ボールがあまり飛ばないので点が入りにくい面があるんですが、延長50回までもつれたのは、高校軟式野球史上初ですよ。普段は軟式には見向きもしない大マスコミもこぞって取り上げ、大きな注目を集めました」(スポーツ紙記者)

この一戦は日本にとどまらず、米国でも報道されるほどのビッグ・ニュースに。球児たちの頑張りが多くの人々の感動を呼んだわけだが、その一方で、聞くも涙の"残酷"すぎる話も。

「マスコミはもちろん学校側からの扱いも、硬式と軟式では大きな差があるんです。軟式、硬式ともにある学校では、軟式の予算は、硬式の10分の1にも満たないところがほとんど。甲子園に出ればテレビに学校の名前が出て、宣伝効果も高い硬式なら、金をかけてもウマミはありますが、軟式は今回のようなことがない限り、何のメリットもありませんから」(某私立高校軟式野球部OB)

専用バスを所有し、全国各地に遠征試合をする硬式に比べ、軟式は全国大会に出場するレベルの高校でも電車移動。用具は顧問の先生の車で運ぶという。

「正直なところ、軟式は硬式の"姥(うば)捨て山"状態。プロのスカウトも"硬式で結果を残せなかった選手が行くところ"といった認識で、大会に顔を出すことはほぼありません」(前出・記者)

伝説となった一戦の主役となった松井投手は"プロに行けたらいいな"と発言しているが、その道はとてつもなく険しそうだ。

しかし、軟式出身の選手だからといって、プロで通用しないとは限らない。

「正直、軟式からプロに入った選手は、ほとんど成功していないのが現実です。でも、100勝100セーブを達成し、広島の3度の日本一に貢献した大野豊投手は軟式出身。松井投手の延長50回を投げ切る根性は相当です。大学で硬式球に慣れれば、その後、プロへの道が見えてくるかもしれませんよ」(前同)

その根性で、大野に続く"軟式野球の星"を目指してほしい!

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