まさに、脳の神秘ともいえる信じがたい出来事が世界では起きている。目を覚ますと、それまでなかった天才的才能が一気に目覚め、突然バイリンガルへと変貌を遂げた青年が注目を浴びている。

イギリス紙「The Daily Mail」によると、メルボルン出身のベン・マクマホンさん(22)という青年は、2年前に自動車の衝突事故に巻き込まれて昏睡状態に陥ってしまった。

両親は医師から、
「もしも、ベンさんが助かったら奇跡」
といわれていたが、1週間以上経ったある日、彼は突然昏睡状態から目覚め、ベッドサイドにいたアジア系の看護師に向かって、
「すみません看護師さん、ここがすごく痛いのですが」
と話しかけた。一見すると普通の会話のようだが、驚くべきことは、それが流暢な中国語だったということ。
さらには、紙切れとペンがほしいと、またしても中国語で頼み、
「両親を愛しています。絶対に回復して見せます」
と漢字で綴った。

本人によると、最初は中国語を話しているとは自分でも気づかず、ごく自然に話していたというから不思議である。以前、学校で中国語を少し習ったことがあるらしいが、大したレベルではなかった。そして、3日ほど後に母国語の英語を思い出すまでは、中国語しか話さなかったようだ。

父親のマークさんは、
「家族に中国語が話せる人などいませんでしたから、実際は何が起こっているのかと気が気ではなかった」
と振り返り、当時の困惑した様子が伺える。

やがてベンさんは、中国人ツアー客の案内をしたり、中国語のテレビ放送にも出演するようになったという。現在、上海に住み、大学で商学を学んでいるそうだ。

思わぬ事故で生死の境をさまよった彼は不運であったが、奇跡的に目を覚まし、さらに2カ国語まで身につけたことで、その後の人生は大きく好転した。まさに、映画や小説のような話である。
ベンさんと似た症例は、世界では過去にも起きている。昏睡状態で脳のスイッチが変に切り替わってしまい、無意識の記憶が表面化するといったケースもある。

彼らの脳の中ではどんな変化が起こったのか? 私たちの脳は、巨大なコンピューターにより、ギュッと凝縮された最も優れたプログラムだ。脳に限らず、私たちの身体は、まだまだ謎と神秘に満ちている。事故には遭いたくないが、不謹慎ながら、自身の脳にも奇跡が起きてほしいものだと思ってしまう。

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