パソコンやスマホで振り込みができるインターネットバンキングで、ログインするだけで自動的に他の口座に不正送金されてしまう新種のウイルスが5月以降、日本で2万件以上も検出されていることがわかった。このウイルスの検出件数は日本が世界の8割を締めており、どうやら狙い撃ちされているようだ。

従来のウイルスは感染したパソコンでインターネットバンキングにログインすると偽サイトを表示し、利用者が入力したIDとパスワードを盗み取るのが主流だった。そのため銀行側はその対策として、ログインや送金するたびにパスワードを変える「ワンタイムパスワード」を導入していた。
しかし新種のウイルスは利用者が正規サイトでIDやパスワードを入力し、口座に接続している間に不正送金の手続きを始めてしまう。そしてワンタイムパスワードなど、追加のパスワードが必要な場合は、そこで偽サイトを表示させて盗みとってしまうのだ。利用者が偽と気付かずパスワードを入力してしまえば、そこで不正送金が行われてしまう。銀行側が不正送金の切り札として導入した、ワンタイムパスワードだが、これでは完全に防ぐことができない。銀行側と新たなウイルスを作り出すハッカーとのイタチごっこ状態なのだ。

これらを防ぐには、まずウイルスが仕込まれているサイトやメールを、いたずらにクリックしないこと。そして見慣れないページでは、うかつにパスワードを入力しないことだ。各銀行のサイトで注意を呼びかけるページがあるので、参考にしてほしい。
警察庁によると今年上半期の不正送金被害は約18億5200万円で、過去最悪だった昨年1年間の約14億600万円を早くも上回っている。まったく他人ごとではないのだ。

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