以前より親ロシア派と親欧米派の対立が続いていたウクライナ。ロシア系住民が多く、豊かな地下資源を持つ東部都市ではウクライナからの独立運動の気運が高まるも、親欧米派が政権を握っているウクライナ政府はこれを認めない構え。政府と親ロシア派による激しい戦闘では3500人を超える死者が出ている。

もはやウクライナ国内の独立運動を超えて、米ソ時代のような冷戦対立の様相を呈しているなか、アメリカがロシアに経済制裁を発効。その対象にはロシアの軍需企業カラシニコフ・コンサーンが製造する自動小銃「AK-47」の輸入規制も含まれていた。

このAK-47は第二次世界大戦後、ロシアのミハイル・カラシニコフ氏が設計したもので、「歪んだ銃弾を使っても壊れない」「グリスが切れても水に浸かっても撃てる」と言われるほどの頑丈さと、扱いが容易なことから世界各国に普及。

開発から60年以上を経た現在でも各国で生産され、多数のコピー品が紛争地域で出回っているという、工業製品としては非常に優秀なモノなのだ。

そんななか、今回の経済制裁によりAK-47のアメリカへの輸入が禁じられたことで「ロシア制裁で買えなくなる前に」と、米国内での駆け込み需要が急激に拡大。国内に存在する在庫を求めて、銃を取り扱うネット通販では同銃が続々と売り切れになるといった状況が続いているという。突撃銃ともいわれるAKを、購入者はいったい何に使うつもりなのだろう……?

かつて日本でもオイルショックの影響でトイレットペーパーの買い占めが起こり、東日本大震災の折りにはカップ麺や缶詰などの備蓄品が店頭から消えた。国が違えば求めるものも変わるのだろうが、民間人が慌てて飛びついているのが銃だとは何とも恐ろしい話だ。

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