「オバマ米大統領も、その脅威を過小評価していたことを認め、ついに9月、彼らの本拠地とされるシリアへの空爆を開始しました」(軍事ジャーナリスト)

あまりの残虐さに本家筋とされる国際テロ組織アルカイダからも絶縁されたという「イスラム国」。いったい、どんな組織なのか?

「最高指導者のアブ・バクル・アル・バグダディが率いるイスラム国は、イスラム教スンニ派の過激派組織です。今は袂(たもと)を分かっていますが、アルカイダの流れを汲んでいます」(前同)

6月上旬、イラク第2の都市モスルを制圧すると、同月29日に、カリフ(預言者ムハンマドの後継者)が指導する"国家"の樹立を宣言。現在はイラク、シリア両国にまたがる広大な地域を支配している。

日本では、民間人の湯川遥菜(はるな)氏が8月にシリアで拘束されたことで注目されたが、非戦闘員の"斬首動画"の公開に象徴されるように、欧米人の誘拐、処刑やテロで、世界を震撼させたことは記憶に新しい。

「ヘーゲル米国防長官が"これまでのどの組織よりも洗練され、資金力もある"と語ったように、土地と油田を押さえるだけでなく、インターネットを駆使した宣伝活動が最大の特徴。宗教的に近いアラブ諸国の若者はもちろん、西側中心の世界に不満を抱く欧米の若者を戦闘員として勧誘する手法も脅威です」(同)

今年3月、イスラム国が拠点を置くシリア北部の都市ラッカを訪れ、同国の軍司令官や兵士たちの独占インタビューに成功した報道

カメラマンの横田徹氏も、「幹部や少年兵以外、シリア人兵士はほとんど見かけませんでした。主に20代の兵士の国籍は、中東湾岸諸国をはじめ、エジプト、モロッコ、フランスなど」と、世界中からイスラム国に共感した兵士が集結している様子を語るのだ。

「各国が警戒するのは、イスラム国で訓練を受けた兵士が母国や他国で起こす"帰国テロ"や"観光テロ"。空爆中の米国はむろん、空爆支持を表明する日本も"標的"になる可能性があります」(国際政治学者)

米CIAによると、イスラム国の兵力は推定2万~3万人超。すでに50か国から数千人規模で、シリアに渡ったとの分析もある。

「日本人兵士は見ていませんが、今後の可能性は否定できません。実際、シリア行きの航空券を買った20代の日本人青年と会ったこともあります」(横田氏)

危機は近くに潜んでいる。

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