2001年より全国での運用が開始され、今年で14年目になるETC。高速道路を使う皆さんにはもうおなじみだろう。

このETC、最初は係員のいるレーンと共通だったが、専用の料金レーンができ始めたころから、正規料金を支払わない不正走行が増え始めたという。これまでの主な不正走行は、次の3つが挙げられている。


(1)強行突破。ゲートが開いていないのに、強引に突破する例。

(2)不払い宣言による通行。「フリーウェイクラブ」という団体が以前行っていた不正走行で、高速道路は本来の無料になっているはずだと主張、料金所で料金を払わないことで、道路行政に抗議を行うとしていた。

(3)車種格下げ強要。高速道路は車種区分によって走行料金が違うが、これを悪用した犯罪。例えば軽自動車用にセットアップされたETCを普通車に載せれば、普通車の走行料金より安く高速道路を通過できる。


13年現在、上の(1)の強行突破が不正走行の9割を占めるというが、そのどれもが、道路整備特別措置法違や電子計算機使用詐欺で検挙・起訴される立派な犯罪だ。


そんな不正走行に、今年9月、また新たな手口が加わったという。

高速道路走行の車両区分の、「特大車」を「大型車」とETCに誤認させ、通行料金の差額をだまし取っていたとして、神奈川県平塚市の運送会社社長らが逮捕されたのだ。

この運送会社は、運転手4人に指示し、特大車である貨物車を大型車であるとETCに認識させていたという。そんなことができるのかというと、実はできるのだ。

大型車と特大車の違いは、貨物車に限って言えば、サイズのほか、車軸の数に依存する。大型車は、前1車軸・後ろ2車軸の6輪である。特大車は4軸・8輪なので、ETCはタイヤの接地面を判断し、普通なら容易に大型車と特大車の区別をつけられる。

しかしこの運送会社は、特大車の一部に装備されている「積み荷が軽い時に、車軸の1本を浮かせて走行できる」という機能を悪用。4軸ある車軸を3軸とETCに誤認させていたのだという。

東名高速の東京~大阪吹田を大型車で通行した場合、片道料金は1万7590円。特大車なら3万480円かかる。往復なら2万5780円もの差額を、運送会社らはだまし取っていたというわけだ。警察は今後、こうした手口による不正が広がるおそれがあるとし、取り締まりを強化する方針だ。

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