ダークマターという物質をご存知だろうか。これは宇宙全体の物質エネルギーのうち、約3割を占めているとされる、人類が見知ることができない物質のこと。人類が見知ることができないため当然ながら観測されたことはなく、あくまで計算される宇宙の構造が暗黒物資なしでは成り立たないことから導き出された、計算上の存在である。しかしこのあるはずなんだけど確認することができなかったダークマターらしきものを、ついに観測することに成功したようなのだ。

ダークマターの存在を指摘したのは、イギリス、レスター大学の研究チーム。チームはヨーロッパの欧州宇宙機関(ESA)が、長年観測してきた太陽からのX線に着目した。X線は観測衛星XMM-NEWTONによって15年間観測されてきたが、奇妙なことにXMM-NEWTONが上昇するとX線の強度が10%高まるのだ。宇宙ではX線の強度はいつ検出されても変わらない。それにもかかわらず、強度が変わるのである。さらにチームはX線の強度が上がるときには、常に地球の磁場の境界線が太陽に面するように形成されていることにも気づく。はたしてこれはなにを意味するのか?

これら現代の物理学では解明できない現象について、チームはダークマターに目を向けた。ダークマターの中で、その存在が期待されているものに「アクシオン」という物質があり、強い地場にぶつかることでX線に変化すると考えられている。太陽核から放出された物質がアクシオンであるならば、X線強度が高まったことが説明できるのだ。もしアクシオンが観測されれば、ダークマターの解明に一歩近づいたことになり、さらに宇宙構造の解明にも近づいたことにもなる。もちろん実際の解明には数年、数十年の時間がかかるかもしれないが、宇宙という謎の解明に、人類は大きな一歩を踏み出したといえるだろう。

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