映画やテレビゲームで使用される3DCG。言わずもがな、3次元の描写を平面上に投影したCGコンピュータ・グラフィックスのことだが、先述したエンタメ分野だけではなく、CADとして建築分野などでも広く使用されている。平面である2次元に奥行きを加えることで立体感を演出することができ、それがリアルさにつながるとうわけだ。
 
そんな3DCGだが、2000年前後までは技術が乏しく、カクカクとした人や動物ものらしき物体がスクリーンやディスプレイを動き回るといった感じだったが、近年はテクノロジーも向上し、かなりリアルに近づいたという印象だ。とはいえ、まだ画面を見ると生身には到底及ばず、「これは3DCGだ」とわかるレベルではないだろうか。
ところが、10月に中旬にYou Tubeにアップされた映像が、あまりのハイクオリティだということで注目を集めている。それが、オーストラリア出身のCGアーティスト、クリス・ジョーンズが作成したという、男性の3DCG。いやはや、完全に実物と見分けがつかないのだ。何も知らずに見ると、スキンヘッドの男性がまばたきしているとしか思えない。ところが順を追って動画を見ていくと、それが“作り物”だと理解できる。それでも、まだ疑ってしまいそうだが。

作成者のクリス・ジョーンズは、この男性モデルを3DCGソフトウェア「LightWave3D」を使い作成したとのこと。いまや、個人でこれほどクオリティが高いCGが作れるというから驚きだ。
これだけリアルに近いと、映画やゲームの画面のなかでは、人間と一切変わらない。ならば、人ができないアクションや危険が伴うシチュエーションでも、3DCGなら問題ないわけで、もう役者はお役御免になるなんてことも。3DCGなら文句も言わずに、監督のどんな要求にも応えてくれるし、表情も豊かなので、喜怒哀楽も深く表現してくれるだろう。「実はノーヒューマン」の大作が登場する日も遠くないのだろうか。かつて産業革命後にそうだったように、次はエンタメなどの分野で、人間の働きがこういったテクノロジーに奪われるのかもしれない。


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