世界各国で巻き起こっている『日本ブーム』。かつては寿司にソースをかけたり忍者がカンフーしたり、海外のテレビ番組ではそんなシーンをしばしば見かけたのだが、今やネットで世界がつながっている時代である。かなり深く日本文化を理解して、楽しもうとする外国人も増えてきた。その中でも日本文化を見事なエンターテイメントに昇華させたのが、フィンランドのWHISPERED(ウィスパード)というメタルバンドだ。
彼らはフィンランド第3の都市タンペレ出身の4人組で、そのコンセプトは『歌舞伎』、『侍』の融合なのだろうか。メイクも衣装も、それらにインスパイアされたもので、曲のモチーフも“アマテラス“”河童”など「日本人でもなかなか取り上げないぞ!?」というものばかり。
しかも! 今年6月にリリースされた日本デビュー盤になる『ショーグネイト・マカブル』に収録されている曲では日本語ナレーションを使っているのだが、これが完璧な日本語だったりするから驚いてしまう。彼らは琴、三味線といった日本の伝統的な楽器も使用。まぁ、ベースがメタルというジャンルということもあるため、『ジャパン』というより『オリエンタルメタル』といった感じだが、あまたの『日本風』とは違い、キチンと調べて日本文化を理解していることが随所に垣間見ることができる。侍のような“真剣さ”がヒシヒシと伝わってくるのだ。例えば日本ブームの国であったら面白がって日本を素材にすれば、ある程度売れるということが計算できる。しかし、そのようなものは日本人として「おい!」とツッコミを入れたくなる陳腐なものでしかない。WHISPEREDから伝わってくるのは『真摯』だからこそ、日本人の自分にも響くのだろう。
彼らが表現する世界観は強烈であり、一度見たら日本人として忘れられなくなるのは確かだ。そして、日本人として忘れているものも、思い出させてくれるかもしれない。


(イリメタル)

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