年を取ると、知らないうちに体調を崩していることがある。運転が意志に反してうまくいかないなら、脳に異常があるかもしれない。とくに「右折」がうまくいかなくなったら要注意だ。

脳細胞に隙間ができてしまう「白質病変」という言葉を聞いたことはあるだろうか。早い人であれば30代から出はじめ、80代になれば大部分の人が現れるという。初期症状は「めまい」「ふらつき」「頭痛」など、この段階で脳の異常を疑う人はあまりいないだろう。しかし、白質病変が進行すると、認知機能が低下していく。特に 、車の右折などの複雑な動きに支障が出るというのだ。

先ごろ、高知工科大学の朴啓彰客員教授(交通医学)と、東京大学の中野公彦準教授(機械工学)の研究グループが発表した。

20代、白質病変を持たいない60代以上、そして、軽度の白質病変がある60代以上の合計32名が運転試験場を走行。普通に走行した場合と、音声出題された計算問題を暗算しながら走行した場合を検証した。

警察の教官が採点したところ、左折では各年代で差は生じなかったが、より安全確認を要する右折では、白質病変があるグループが、ないグループと比較してふらつきが大きかった。

さらに、暗算をしながらの走行だと必要のない動作が40%増え、一時停止を無視した回数は3倍以上と大きく差がついたのである。

この結果から、白質病変は運転動作に大きな影響を及ぼすといえる。進行した病変は大きな事故をも起こしかねず、また車の運転で右折がしにくいと感じたら、脳の異常に注意した方がいいかもしれない。

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