みんな知っていると思うが「みんなの党」が解党を決めた。みんなで決めたかどうかわからない。浅尾代表は「ふざけるな」という怒号の中で断を下したというから、やっぱりみんなで決めたのではないのかもしれない。さようなら、みんな。

今回のみんなの党の解党には特に驚かない。プロレスの歴史ではもう何度も繰り返されてきた風景だからだ。理想の旗を掲げ、新団体を興し、ブームに近い支持を得て、さぁこれからというときに「揉める」「分裂する」。これはもう政界とマット界のお約束と言っていい現象である。両者が似ている何よりの証拠だ。

みんなの党は路線対立が続いてきた。わかりやすくいうと現代表の浅尾氏は「野党結集」「古巣民主党への合流」を考えている。それに対し前代表であり創業者の渡辺喜美は「与党との協力」つまり自民党への接近を考えていると言われる。党の上層部がまったく逆の方向を向いている。分裂するのも当たり前だ。

これに近い例はマット界でいえば「ジャパンプロレス」の一件であろう。

新日本プロレスを飛び出した長州力をエースとするジャパンプロが興されたのが1984年。今から30年も前の話だが、この団体はプロレスラーの業を体現した象徴的な団体だった。今でも記憶に生々しい。

まずジャパンプロは新日本プロレスのライバルである全日本プロレスのリングに上がった。そこで新しい風を吹かせ、一大ムーブメントとなった。しかし長州は2年も全日のリングにあがっていたら新日が恋しくなったのである。契約とか大人の論理とかもう通じない。そうと決めたら新日本プロレスに帰りたくて仕方なかった。

さしずめ今の渡辺喜美前代表もこんな感じではないか?新団体を旗揚げしてみたものの、やっぱり自民党が気になって仕方ないという。

9月末にTBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ!」に渡辺氏がゲストに来たときに「与党再編とか言ってるより、ひとりで自民党に復党すればいちばん話が早いのでは?」と私は渡辺氏に質問したのですが「みんなの党を自分でつくったのになぜそんなことを」と言っていた。しかし今回解党。いきなりの自民復帰はないにしろ、野党結集には興味がない渡辺氏は今後どうするのだろう。

ちなみに長州は強引に新日復帰を決めた。出戻りを果たした。他のジャパンプロの選手も長州に着いてゆく人、全日本に残留する人、に分かれた。

ここでちがう選択をしたのがアニマル浜口とキラー・カーンである。

特に浜口は「どちらを選んでも示しが付かない」(トラブルになる)として、「引退」の道を選んだのだ。なんという律義さ。

政治家にそこまでの男気を求めるのは酷としても、みんながみんなゴチャゴチャしている状態は、最初の理想に期待した人はガッカリしているのではないか?

団体を維持するのは難しい。

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