Aさん「最近、カラダの調子悪くてね」
Bさん「どうしたの?」
Aさん「病院に行ったんだよ……」
な〜んて、小噺のなかでは笑いになることだけど、それが冗談にならなくなった昨今。ニュースでも医療ミスの報道があとをたたない。

たとえば、広島県では処方の2倍のモルヒネを投与された患者が翌日に死亡。さらには、群馬大病院の同一医師による手術ミスで8人が死亡するなど枚挙にいとまがない。その結果、昨年、国内で起きた2708件で過去最多という過去最悪なことになっている。確かにこの増加は医療事故の報告が近年徹底されるようになったことが理由でもある。ただ医療ミスというものは実際に起こっており、それは決して少なくない。

実はイギリスでも恐ろしい医療ミスというか、犯罪が摘発され、国民を恐怖のどん底に突き落としている。
なんと歯科医師が32年間に渡って、院内感染対策に違反していたことが明らかになったのだ。どういうことか? たとえば次の患者を診る前に手を洗わなかったのは序の口。それならば百歩譲って手袋をすれば、まだ救われるじゃないか。でも、その手袋も新しいものに変えないうえ、器具機材の消毒をしていなかったというから呆れる。

さらには器具機材をトイレに保管するなど、適切な衛生措置をとっておらず、その結果、32年間でこの歯科医に診察された2万2000人の患者さんがHIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスに感染した恐れが出ている。そのうちの約160人は発症する危険性が高いという。また、当事者の歯科医の患者のうち2人が治療を受けた後死亡しているが、そのうちの1人は2014年8月に治療を受けた後、ウイルスに感染して死亡した。

この一件を受けて英国国民保健サービス(NHS)は、ホットラインなどを設置して過去に治療を受けた患者に検査を受けるよう求めている。これは、当局の過去最大規模の検査行動になるとか……。
当事者の歯科医師は2014年6月に、診療所が衛生基準を満たしていないと医療監視機関から摘発され、英国歯科医師会から医療業務停止18ヶ月処分を受けていたというが、業務停止だけですむ問題なのだろうか? 殺人ということで、それなりの重刑を受けてもおかしくないだろう。

我が国でも同様の事件が起こらないよう、祈るばかりである。

本日の新着記事を読む