最近、各メディアでやたらと目にする「企業買収」のニュース。映画や小説のテーマになることも多く、以前より認知度は上がっているが、その目的や、実際に買収されるとどうなるかをわかっている人はそう多くないだろう。

そもそも企業買収(M&A)とは、企業が他の企業の全体、あるいは一部門を買収すること。一般的に新規や既存事業の拡大、グループ再編、事業統合、経営不振の企業の救済を目的に実施されることが多い。
最近であれば、動画配信大手のドワンゴが、ゲームやアニメなどクリエイティブ関連の専門学校12校を東京と大阪で運営する、バンタンを買収すると発表。全株式を約40億円で取得して、完全子会社化にした。

この買収は、アニメやゲームの教育事業を強化することで「ニコニコ動画」との相乗効果を期待したもの。他にも例を挙げると、アサヒビールが老舗日本料理のなだ万の株式51.5%取得することで合意したが、これもなだ万が培ったノウハウを、顧客である外食企業への営業提案に活用したいというのが狙いだ。あるいは、なだ万は香港やシンガポールにも拠点があるので、アサヒビールの海外展開に応用したいという考えもあるだろう。

また買収と聞くと、買収された側の企業の社員が冷遇されるというイメージを伴うが、これはあながち正解といえない。事業の拡大が目的でもあるので、パートナーシップ的な関係も多く見られる。子会社化されると社長をはじめとする経営陣は一掃され、親会社からの新経営陣に刷新されるというケースもあるが、なかには経営者は変わらず、親会社はサポートだけにとどまるということも、ままあるようだ。

ままある、というのも企業買収には敵対的と友好的な案件があるからだ。前者はかつてホリエモン率いるライブドアがニッポン放送に仕掛けたようなものであり、ドワンゴやアサヒビールは後者といえる。買収者=侵略者とは限らず、資金やノウハウをバックアップする、サポーター的な役割になってくれることも多いのだ。もし自分が勤める会社が買収に直面したとしても、「冷や飯を食わされる」と転職するのは早計だというもの。じつは、買収する企業というのは、業績不振から救ってくれる天使であるかもしれないのだ。

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