「えっ? そんなのすぐにウソだってバレるに決まってるじゃん!」
このニュースを知ったら、誰もがそう思うハズだ。なにかといえば、今年11月20日にSNSで知り合った東京都在住の女性(37)から、リベリア国籍の男性が現金80万円をだまし取ろうとした事件だ。
この容疑者は仲間と共謀して、女性に対し電話やメールで、「マラッカ海峡航行中に海賊に襲われた」とか「荷物を日本に送るから、業者に配送手数料を渡してほしい」などウソの話を持ち掛け、福生市の喫茶店で女性から現金をだまし取ろうとしたのだが……海賊? マンガじゃないんだから! そんな感じで冒頭の感想につながるワケだ。

しかし、である。実はけっこうな数の海賊被害が実際にあるのだ、最近でも。そう、海賊はたくさんいるんです!
『海賊』というと、某国民的マンガの主人公のイメージだろうか? もしくは『パイレーツ・オブ・カリビアン』とか? またはビッケのような感じか? いずれにしても、北欧の荒海を甲冑で身を包んで他人のお宝を狙って人を襲う、というイメージかも。
しかしここ最近の海賊は、デカい海賊船に乗ってないし、旗にドクロも描かれていない。フック船長のような手でもないし、ドロボーヒゲでもないだろう、たぶん。これまた、たぶん、だが、基本的には普通の服装で襲うのだ。つまり思ったほど派手じゃない。

ようは、海上で船を狙い、相手から金品などを奪ったり暴行したら、それはすなわち海賊。それゆえに現在でもかなりの被害がある。記憶に新しいところでは、2014年4月に日本籍の石油タンカーがマラッカ海峡付近で襲われている。積んでいたディーゼル油が盗まれ、乗組員3人が連れ去れているのだ。
ちなみに、このマラッカ海峡は海上交通の要所であるが、それゆえに海賊被害が絶えず、ここ3年で年間12〜20件の被害が報告されているほどなのだ。そう、海賊は北欧ではなく、マレー半島とスマトラ島の間で暗躍しているのだ。

今回あやうく被害に遭いそうになった女性だが、これらの海賊被害を知っていたら疑うことなく信じこんで、被害は大きくなっていたかもしれない。

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