水面から空へ向け渦巻きながら立ち上がる2本の水柱……。まるで、映画のワンシーンのようだが現実であり、この水柱の正体はイタリアの海で起きた『水上竜巻』である。

この水上竜巻が確認されたのは、11月26日のこと。リグリア海に面したイタリア沿岸部で起きたものだが、2つ同時というのが珍しかったのか、動画が公開されると同時に話題になっている。撮影したのイタリアの男性(34)。仏ニースと伊ジェノバのほぼ中間に位置するサン・バルトロメーオ・アル・マーレの町で、彼が勤務するホテルの屋上から撮影された。
YouTubeに『Rare Footage Of Waterspouts Stretching From Clouds To The Sea』というタイトルで投稿されたが、とくに衝撃を受けたのは、海で働く人たちではないだろうか。2つの大規模な水上竜巻が自然界の驚異、美しさを見せつけていると好評だが、海で働く身としては恐怖以外のなにものでないだろう。

さて、竜巻はなぜ起きるのか? そのメカニズムに関しては、空気が暖められることで急速に発達した積乱雲の影響であることは間違いない。しかし、いまだに解明されていない部分もあるため、発生を予想するのは難しいという。
ちなみに、世界で一番、竜巻が発生する国はアメリカで、多い時は年間に800個の竜巻が発生する。これは、アメリカの中西部はカナダ方面から冷たい空気が流入しやすいためで、昼間の気温が急上昇した時、大気が非常に不安定な状態になる。その結果、積乱雲が発達しやすいのだ。

日本では、かつてはあまり発生しなかった大規模な竜巻。しかし近年、多く発生するようになり、一部では温暖化が原因なのではと言われている。
実は記者は埼玉県在住なのだが、昨年2013年9月2日に、隣の越谷市で起きた竜巻に遭遇している。少なくとも63人が負傷したとされ、住宅6棟が全壊。83棟が半壊、電柱7本がなぎ倒されるなどの被害が出たこの竜巻。空が曇って地面が唸っているような音が遠方から聞こえたと思ったら、同時に停電。そしてその30分後には救急車や消防車がサイレンを鳴らして行き交う音が響いていたのことは記憶に新しい。今回、動画にアップされたものは、その比でないのは明らかなだけに背筋が凍った。
先述したように竜巻はその発生を予測することが難しい。 発達した積乱雲が見えた時は、竜巻が近づいている可能性があるため、用心した方がいいだろう。

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