今年のストーブリーグに大異変が起きている。
「例年は、巨人やソフトバンクが他球団のスター選手を札束で引き抜く大型補強が世間の注目を集めますが、今年は2球団とも控えめ。ソフトバンクは松坂大輔、巨人もヤクルトの相川亮二、横浜の金城龍彦を獲得したくらいでした」(スポーツ紙記者)

その一方で、人気選手をごっそりと引き抜き、FA市場で主役の座に躍り出たのが、東京ヤクルトスワローズとオリックス・バファローズの2球団だ。
「ヤクルトは、ロッテのエース・成瀬善久と3年総額6億円、日ハムの大引啓次と3年総額3億円の契約を結び、球団史上初とも言えるほどの大型補強をしました」(前同)
一方のオリックスに至っては、総額22億円の特大補強。メジャー帰りの中島裕之に3年12億円をはじめとして、中日、横浜の長距離砲として活躍したブランコに2年5億円、広島のバリントンに1年1億5000万円と大盤振る舞い。景気のいい話が飛び交った。

だが、ヤクルトとオリックスといえば、大型補強とは縁遠い球団のはず。
「93年にFA制度が始まって以来、ヤクルトが同制度を利用して獲得した選手は相川だけ。広澤克実など生え抜きのスター選手がFA権を行使しても、大金を使って引き留めることもしませんでした。オリックスも同じで、選手に高額な年俸を支払わず"球界屈指のドケチ球団"とささやかれていましたからね」(同)

そんな2球団が、今オフになぜ、ここまでの大型補強に走ったのか。球界の事情通は、こう解説する。
「オリックスは、本社が今年で創業50周年だったため、本社から"金はかかってもいいから、とにかく勝て"と、今季の優勝指令が出ていたんです。
その影響があってか、97年に日本一になってから長らく優勝争いから遠ざかっていましたが、今年は首位ソフトバンクと勝率2厘差の2位でした。これに気をよくした本社の上層部が、次こそはと潤沢な資金を球団につぎ込んだんです」
この大補強に今年のパ・リーグ覇者であるソフトバンクも戦々恐々としているというから、来季はオリックスが大注目球団になることは間違いないだろう。

一方のヤクルトも、本社の状況が色濃く反映されているという。
「ヤクルトの本社は手堅い商売で超優良企業なんですが、それゆえにフランスの巨大乳製品メーカー『ダノン』から目をつけられた。株を買い占められ、買収されそうになっていたんです」(前同)
その対応策に追われていた本社から、「球団は独立採算でやってくれ」との指令が出ていたため、とても大型補強ができるような財政状況ではなかったのだという。
「それが今年、『ダノン』がヤクルト株から撤退することが明らかになり、球団にお金を回せるようになったというわけです」(同)

ヤクルトと、オリックスのストーブリーグの成果が、2015年のペナントレースを盛り上げることは間違いない!

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