スター選手は数億円規模の年収を手にするが、一般の選手は普通のOLと大差ない薄給。そんな女子スポーツ界の収入の仕組みと格差を人気6種目で調査!

プロゴルファーの主な収入源は試合の賞金である。2014年度の女子プロゴルフの場合、国内で37試合が催され、賞金総額は32億5000万円。賞金獲得1位のアン・ソンジュ(韓国)は約1億5300万円を稼いだ。

有名になると、賞金のほかに、CM契約料やスポンサー料(企業のロゴをウエアなどに明示するなどして得る収入)も入る。
「現在、日本人選手で最も年収が多いのは宮里藍。賞金とCM契約料、スポンサー料などを合わせて約3億円と言われています」(ゴルフ専門誌記者)
宮里の次に多いのが横峯さくらで約2億円、3番目が森田理香子で約1億8000万円だ。
だが、そんな恵まれた選手はほんの一握り。日本の女子プロゴルファー約900人のうち、レギュラーツアーに出られるのはシード選手と下部ツアーの成績上位者など約100人。
また、試合に出場できたとしても、予選落ちしたら賞金はゼロ。そうなると、交通費、ホテル代、食費、キャディー代は自腹なので、1試合当たり20~25万円の赤字が生じる。

年間30試合に出場すると、自腹の経費が600~700万円ほど。これを賄いつつ、人並みの生活をするには1000万円は必要だろう。しかし、14年に1000万円以上の賞金を稼いだ女子プロは、わずか70人。8割以上が獲得賞金ゼロである。
下位の選手にとって"上位の壁"は予想以上に厚いのだ。

だが、それでものし上がる者はいる。たとえば前田陽子。06年のデビューで、これまでの成績はパッとせず、09年から13年まではレギュラーツアーに一度も出られなかった。13年の獲得賞金は21万5142円。若いOLの月給程度の年収である。そこで、不足分の生活費とゴルフの費用を稼ぐため、地元・徳島の段ボール工場で午前9時から午後4時までアルバイトをし、夕方からゴルフの練習をする日々を過ごした。
時給は750円だったという。

その彼女が14年11月、伊藤園レディスでプレーオフの末に初優勝した。バイト代9年分に相当するという賞金1800万円を獲得し、ランクは123位から33位にまで急上昇。15年のシード権を勝ち取り、一気にトッププロの仲間入りを果たした。

優勝インタビューで「長かったですね」と涙を流した前田は、支えてくれた母に冷蔵庫と洗濯機をプレゼントしたという。

選手たちは大変だが、こういう"大出世"が見られるのも、スポーツの醍醐味の一つだ。

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