死亡事故も!エナジードリンクの意外に知られていない危険性の画像
死亡事故も!エナジードリンクの意外に知られていない危険性の画像

エナジードリンクで酒を割るとベロベロになるという話、聞いたことがないだろうか? テキーラやウォッカといった強い蒸留酒をエナジードリンクで割ると、一発で酔うらしい。

その理由はまず酒量が増える。カフェインの覚醒作用でアルコールの酩酊が軽減したと錯覚する。酔っ払って、コーヒーで目を覚ましてまた飲むというのは酒飲みは経験があると思うが、あれである。アルコールの鎮静作用をカフェインの中枢神経興奮作用で相殺するわけだ。米国食品医薬品庁(FDA)によれば、通常の飲酒に比べて3倍ほど過剰飲酒になりやすいという。

さらに鎮静と覚醒を同時に行うと独特の作用が起きる。ドラッグでアッパー系とダウナー系をカクテルしたものをスピードボールというが、爆発的に効く。そのライト版だ。体が急に元気になったり、突然やる気が沸いたりする。またエナジードリンクは体内に吸収しやすい濃度に調整されているので、アルコールの吸収も早い。

調子がよくなって、飲んでいると普段よりも飲み過ぎ、気がついたらベロベロになっているというわけだ。

米国食品医薬品庁(FDA)は、2010年に「Four Loko」(Phusion Projects社)などカフェイン入りアルコール飲料を販売した4社に対して、カフェインは安全ではない旨の警告文を送付している。同飲料やカフェイン飲料とアルコールのカクテルを飲んだ若者が、病院へ搬送される例が急増したためだ。

カフェインは致死性の薬物だ。成人男性の致死量が10g前後=10000mg。FDAが安全としているカフェイン量は成人で400ミリグラム/日(コーヒー4〜5杯分)。対してエナジードリンクのカフェイン含有量は100ミリリットルあたり30〜50ミリグラム程度で、同90ミリグラムのドリップコーヒーよりも少ないが、カクテルで飲んでいたら相当な量を飲んでしまう。ビールをリットル単位で飲む人は珍しくない。その感覚でエナジードリンクカクテルを飲んだら、さすがに危ない。

そもそも肝臓で分泌されるカフェイン分解酵素のCYP1A2は、遺伝的に分泌量に強弱がある。アルコールと同じく、カフェイン強い体質もあれば、極端に弱い体質があるのだ。心筋梗塞とコーヒー摂取量の相関関係について調べた研究では、遺伝的にカフェイン分解酵素が弱い人はコーヒーを飲む量と心筋梗塞を発症する率が完全に相関していることがわかっている。コーヒーを飲めば飲むほど、カフェインによって心臓にトラブルを起こしてしまうのだ。

カフェイン不耐性の人がそうと知らずにエナジードリンクカクテルを飲んだら、大変なことになるのは目に見えている。アメリカでは14才の少女がエナジードリンクを700ミリリットル飲んで死亡した例もあり、カフェインの添加は規制強化の方向だ。酔わせてなんとかしようと良からぬことを考えている御仁は、よくよくご注意を。

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