「夏は抜け毛の季節」はウソ!? 髪が薄くなる本当の原因の画像
「夏は抜け毛の季節」はウソ!? 髪が薄くなる本当の原因の画像

夏は抜け毛が増えるというのは本当か? 汗もかくし直射日光にさらされる。たしかに抜け毛が増えるイメージはあるが、本当はどうなのだろうか。

老化に伴って男性が薄毛になるAGA=男性性脱毛症に限っていえば、これは無関係。AGAの原因は男性ホルモンのテストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)に変化、DHTが髪の毛の発毛サイクルに作用してサイクルを短縮し、髪が成長する前に抜けさせてしまうために起きる。

DHTによって髪の毛は薄くなり、髭や体毛は逆に濃くなる。額や耳の後ろが脂っぽくなる。50代以上になると前立腺肥大症といってオシッコが出にくくなる病気があるが、これもDHTが原因だ。

では紫外線や汗が抜け毛にまったく関係がないのか? 一般的にはないと言っていい。皮膚科の医者がよく言うのが、ホームレスの薄毛問題。汗によって髪が不潔になったり、紫外線で頭皮が痛んで脱毛するなら、ホームレスはハゲ散らかしているはずだが、一般人とそれほど差があるようには見えない。むしろドレッドな長髪の方が多い。頭皮がキレイか汚いかはフケの量には関係しても、抜け毛・薄毛には大して影響しないのだ。

例外は癜風菌(でんぷうきん)という水虫とよく似た菌が頭皮に増えた場合。この菌が過剰に増えると、フケが増え、脂漏性皮膚炎を起こし、頭皮が赤く腫れて脱毛する。フケが妙に多くなったと思ったら、皮膚科に行った方がいいだろう。この場合は汗とともに分泌される皮脂を洗い流す=洗髪をマメにしないと症状が悪化する。

実のところAGAは遺伝によるところが大きい。男性ホルモンの感受性は遺伝する。毛乳頭の中にあるX染色体の遺伝子が感受性の高低を決めているのだが、X染色体は父方ではなく母方からの遺伝だ。つまりハゲは母系遺伝する。母方のおじいさんがハゲていると孫はハゲやすくなるのだ。

しかし頭皮マッサージなどで例外的に髪が生えてくることはある。刺激を受けると発毛が促されるらしいが、詳しいメカニズムはわかっていない。発毛促進剤の臨床データでも、発毛薬だと言って砂糖のような無害なものを与えた場合、10%近い人に髪が生えているのだ。これはAGAではなく、本当はストレス性の脱毛症で、薄毛がストレス原因であり、それを取り除いたことで発毛したと考えられる。

清潔であることは大事だが、髪をしょっちゅう洗っても髪は生えてこないし、神経質に日差しを避けても髪は抜ける。むしろ髪が抜ける恐怖感がストレスとなって脱毛を後押しする。リラックスしてありのままに、が髪の健康には一番いいのだ。

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