一人の日本人ミュージシャンを巡る騒動が今、タイの全国民から注目されている――。発端は今年4月、インターネット上で発信された、次のひと言だった。
〈ギャラが支払われてない〉
こうつぶやいたのは、ロックバンド『†яi¢к(トリック)』のボーカル・越中睦士(こしなかまこと)(34)。

「99年にロックバンド『Λucifer(リュシフェル)』のボーカルとしてデビュー以降、2度の武道館公演を成功させ、一躍、脚光を浴びた。かつて人気女優と交際を噂されるなど、その端正なビジュアルで、役者としても活躍中」(音楽ライター)

俗に言う海賊版CDが契機となり、タイでは若い女性を中心に爆発的な人気になり、"Gacktの再来"が代名詞となった彼。
「タイのプミポン国王の三女が大ファンを公言するほどで、今や国民的スターのようです」(同ライター)

そんな彼に何が起きたのか――。騒動の原因は昨年、タイで公開され、大ヒットを記録した映画『FinSugoi』。冒頭の発言にあるとおり、本人役で同作に出演した越中に対し、契約書で交わされた出演料が、いまだに製作サイドから支払われていないというのである。
「この発言が公開されるやタイ国内で話題となり、翌朝には日本で言う『めざましテレビ』(フジテレビ系)のような朝の情報番組でトップニュースとして扱われ、製作サイドが釈明会見に追われるなど、騒動に発展した」(タイ在住ライター)

本誌は今回、渦中の越中氏に直撃取材。重い口を開いて、こう答えてくれた。
「日本のファンに対して説明できていなかったので、この場で説明できたらと思い、取材を受けました」

――出演料が支払われていないのは、事実なのか。
「ギャラの一部不払いは事実。撮影中から経費の支払いが滞るなどしていましたが、撮影に支障を与えたくないと、我慢していました」

――出演料の不払いを公表したきっかけは?
「映画には『†яi¢к』のメンバーに出てもらっていますが、彼らにもギャラが払われておらず、公表を決意しました。僕の映画デビュー作ですし、現場では共演者にも恵まれ、思い入れの強い作品だったので、こんな形で注目されることだけは避けたかったのですが……」
製作サイドから目立った反応はなく、越中氏の元には現在、タイのファンから"申し訳ない"との言葉が殺到しているという。

その気持ちに応えるべく、6月下旬にタイへ渡り、騒動発覚後初のファンクラブイベントに臨む彼。騒動が、日タイの友好に水を差す結果にならないことを祈るばかりだ。

本日の新着記事を読む