プロ野球「奇跡の大逆転」感動エピソード

球球史をひも解くと、大差を引っくり返した試合が、いくつか目につく。勝利を決して諦めないアスリート魂が生んだ"奇跡の大逆転劇"を、感動エピソードとともに紹介!

00年9月24日東京ドーム
9回裏、長嶋巨人自慢の 重量打線が突如、大爆発!


中日VS巨人


00年9月24日、順調にマジックを減らしていた巨人は、勝てば優勝という大事な対中日戦を迎えた。

しかし、事はうまく運ばない。始まってみれば、8回まで巨人打線は散発5安打と中日投手陣に抑えられ、9回表の終了時点で0-4。誰もが諦めかけていて、引っくり返す雰囲気など、どこにも感じられなかった。
ところが9回裏、重量打線が突如として爆発する。

元木大介のライト前ヒットからの3連打で満塁のチャンスを作った巨人は、マルティネス、江藤智に命運を託す。マルティネスは三振に終わったが、次に打席に入った江藤は、カウント0-2から中日の抑えのエディ・ギャラードのストレートを強振。打球は左中間のスタンドに飛び込む劇的な満塁本塁打となった。

このときの江藤は、広島からFA移籍してきて1年目のシーズン。横浜への移籍話が決まりかけていたのを断って巨人入りを決めたことから、"裏切り者"というレッテルを貼られたこともあった。
また、長嶋茂雄監督から背番号33を譲られたことも大きな重圧となり、前半戦は不振に喘いだ。体重は5㎏も落ち、ストレスで抜け毛も目立つようになった。

それでも、自分に声をかけてくれた長嶋監督の期待に応えるべく、徐々に調子を上げ、この時点で31本塁打を放つなど、後半に入って実力を見せられるようになっていた。

この悩み抜いた主砲の一発で同点。"さあ、これから、みんなで反撃だ"と誰もが思った瞬間、次打者・二岡智宏のソロホームランが飛び出し、あっけなく巨人がサヨナラ勝ちをする。

この瞬間、長嶋監督の5度目のリーグ優勝が決まった。殊勲の二岡がナインに手荒い祝福を受け、長嶋監督が宙に舞う。
実は、長嶋監督が試合に勝って本拠地で胴上げされたのは、後楽園球場時代を通じて、これが最初で最後。この勝利で、巨人はミレニアム対決と言われた、ダイエー・王貞治監督との日本シリーズに進出できた。

この日、午前中にシドニー五輪マラソンで高橋尚子が優勝、午後は長嶋巨人が大逆転。巨人ファンには忘れられない一日となった。

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