“立石の老ピエロ”こと、元『週刊プロレス』金権編集長・ターザン山本が語る「長州力のターザン批判」とは。

佐々木健介と北斗晶が結婚式をあげた時、仲人は長州力夫妻だった。その式場に私も呼ばれた。まだ、前のカミさんと離婚していなかったので2人で出席。式が終わりかけた頃、何を思ったのかカミさんは長州のところにあいさつしに行った。私と長州の関係がよくないことを知っていながらである。度胸がいいというかあえてそうしたのだ。それがあのカミさんの性格でもある。すっかり酔っていた長州はこう言ったそうだ。「君はいいけど旦那(ターザン)とは永久にダメだからな」。

しかし結婚式というめでたい席で長州もよくそういうことを言うよな。よっぽど私のことが嫌いなのか? 憎いのか? 気に入らないのか? そのすべてだろう。あきれるしかないが、面白がるしかないよな。

その後も長州はターザンという名前が出るとまるでパブロフの犬のように条件反射的に私のことをボロカスに吐き捨てた。

「あいつは狂ってる!」にはじまり差別用語も平気で発言。高田延彦と新宿のFACEでトークショーをした時には、「ターザン? もうあいつのことはいいよ……」と投げやり半分だったとか。ホント、笑えるよな。最近では「あいつは病気だから、クソだから……」に変化。長州ってもしかすると夢の中にまでターザン山本が出てきて、うなされているんじゃないの?

すでに60歳を過ぎたんだろ? テレビでは芸能番組に出ていじられキャラなんだろ? 藤波選手と福島競馬場に行ってイベントに出てたりしているよな。あ、天龍さんとも馬券の予想をしていた。

それなのになぜ、ターザン山本だけは特別なんだ。昔のイラついた長州力に戻ってしまうんだ。どっちが病気なんだよ。

私は何を言われてもへっちゃら。批判されたりバッシングされることには慣れている。免疫がある。もともとそういうことは気にしない人間なのだ。2ちゃんねるのスレッドには好き勝手なこと、あること、ないことが書かれている。どうってことないよ。だいたい2ちゃんねるなんて見たことないもん。関係ないもん。人間、誤解されないと本物ではないと考えているから。理解されたら終わりだよ。すぐに賞味期限にノックアウトされて、ハイ、それまでだよ。

どんな誹謗中傷もどんと来いだ。俺は打たれ強いからね。だいたい長州のターザン批判にはもう飽きたよ。どこまでも続くワンパターン。それにさあ、私が一番思っていることは一つしかないんだよ。たとえば私が暴言に近い強気な発言をすると、反論として出てくるのが「クソ、ジジイはもう引っ込め!」だ。ああ、俺は立派なジジイだよ。今年69歳だもんな。来年はついに70の大台だあ。

ジジイ呼ばわりはちょっとしゃくにさわるけどね。ただそれは何の反論にもなっていない。そんなことよりも「もうお前は才能がない!」と言われるのがもっともこたえる。これだけはガマンできない。しかしまだそう言われたことは一度もないのだ。それが俺にとって最大の自慢だよ。この世の中、男は才能だよ。それしかないだろう。

ガチンコ勝負で来い。長州が昔、言っていた「ど真ん中」の真っ向勝負だ。結局、最後に勝つのは誰なんだ? そこだよな。どうせ人生は短い。あっという間に終わる。死んだらおしまいだ。長生きした方が勝ちか? それならあえて長州に次の言葉を贈る。「俺の人生に一度ぐらい仲直りがあってもいいだろう」。それも無理か? 無理だろうな。

文◎ターザン山本
1946年、山口県生まれ。「週刊ファイト」のプロレス記者を務めたのち、ベースボール・マガジン社に籍を移す。87年に「週刊プロレス」2代目編集長に就任すると、同誌を公称60万部の黄金時代へと牽引した。96年同社退職。強烈な個性と風貌で毀誉褒貶が激しい人物。

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「新シリーズ 逆説のプロレス」(双葉社スーパームック)より引用

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