外国語の本を日本語に翻訳して出版することが一般的になるのは、明治以降です。しかし、日本で最初の翻訳本は明治よりずっと前、安土桃山時代に出版されています。
その本を作ったのは、キリスト教の布教をしていたイエズス会のヴァリニャーノ神父で、タイトルは「エソポ物語」。現在の「イソップ物語」で、ヨーロッパから持ち込んだ印刷機を使い、ローマ字で印刷されました。その原本はロンドンの大英博物館に保管されています。
その後、江戸初期には「伊曾保物語」という仮名草子が出版されていますが、これもイソップ物語の翻訳本です。
エソポ物語と伊曾保物語のどちらにも載っているのが「アリとキリギリス」。アリが夏の間せっせと食べ物を蓄えていたのに、キリギリスは遊んでばかり。このため冬になって食料がなくなったとき、キリギリスは途方に暮れるという有名な話ですが、昔の本に出てくるのはキリギリスではなく別の虫。タイトルも「アリとキリギリス」ではなく、「アリと○○」となっています。
日本初の翻訳本で、キリギリスの代わりに登場するのは?
(1)セミ
(2)カブトムシ
(3)バッタ
答え :(1)
出題:浜川卓也