「深夜に乗車した老人の不吉な忘れ物」真夏のタクシー怪奇談 その1の画像
「深夜に乗車した老人の不吉な忘れ物」真夏のタクシー怪奇談 その1の画像

運転手さんの多くがこの季節になると体験する幽霊・亡霊との出会い。身の毛もよだつ密室の怪談をリアル再現!!

タクシー運転手の仕事はかなりハードだ。しかも、無理してノルマを上げようとするから、客を乗せてもいないのに乗せたと思い込んで走ることもしばしばだという。ことに疲労がピークに達したときなどは、錯覚というか幻影を見ることもある。

だが、あきらかにそうではない、背筋を凍らせるような怪奇な体験をしたドライバーは少なくない。


大手タクシー会社のドライバーAさん(39)は深夜12時過ぎ、護国寺から恵比寿まで年老いた男性を乗せた。70歳を少し過ぎた頃だろうか、手には大型のアタッシェケースを持っている。
車中では話しかけてくるわけではないが、時折バックミラーから見える鋭い目がキラっと光るのが不気味だ。

彼は目的地の恵比寿の住宅街で、ちょっと手触りが気になる5000円札を渡され、そのお客さんを降ろし、車を2~3分走らせたところで忘れ物があることに気がついた。
一瞬、引き返そうかとも思ったが、営業所の事務室に保管してもらうことにした。ただ、その老人が忘れていったアタッシェケースを持ったときの重さと、ジトっとした奇妙な感触が気になっていた。

そこで、それを開けてみたところ、中から出てきたのは、手垢にまみれた布に包まれた、3匹の猫の死体だったのである。毒殺されたのか、口から血を流し、目をカっと見開いたまま。

「なんで、こんなものを深夜に持ち歩いてるんだ?」

自宅で猫を飼い、可愛がっているAさんは、あの老人の光る目が不気味に思えてならない。

そのあと、売上金を入れる札入れの中に、5000円札とともにあの猫の毛が入っているのに気がついた。一瞬、凍りついてしまったことはいうまでもない。

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