『ジュラシック・ワールド』コリン・トレボロウ監督インタビュー「映画の成功よりも、映画を作っているときのほうが幸せなんです」~失敗を恐れない人間力の画像
『ジュラシック・ワールド』コリン・トレボロウ監督インタビュー「映画の成功よりも、映画を作っているときのほうが幸せなんです」~失敗を恐れない人間力の画像

「映画が成功することよりも、映画を作っているときのほうが、非常に幸せなんです」

私は、映画『ジュラシック・パーク』の大ファンなんです。だから、スティーヴン・スピルバーグから、その続編である『ジュラシック・ワールド』の監督に指名されたときは、喜びと同時に、失敗は絶対に許されないという大きなプレッシャーがありました。

これだけ有名なシリーズの続編でありながら、オリジナルのストーリーを作りあげなければならないというのが、一番のチャンレジであり、困難な部分でしたね。
私の使命は、『ジュラシック・ワールド』という全世界から注目を浴びている作品の魅力を次の世代につなげていくことでした。昔からのファンも納得させなければならないし、新しいファンも満足させなければならない。
とても難しい課題でしたが、私と脚本家、スピルバーグの3人で、とことん話し合って脚本を決めていきました。

その結果、世界累計興行収入10億ドルを、史上最速の公開13日間で突破したと聞き、また、多くの観客に満足してもらえたようで、ホッとしましたね。母親も成功したことよりも、私が恥をかかなかったことを喜んでいました(笑)。

私が映画監督になったのは、両親の影響が大きかったと思います。私の父はミュージシャンで、母は写真家でした。なので、小さい頃から、創作するということがとても好きだったんです。
なかでも映画が大好きでよく観ていたので、18歳のときから、脚本を書き始めました。ただ、映画館で上映されることになった作品は、2012年『彼女はパートタイムトラベラー』(邦題)という1作品だけ。
だから、今回、幸運なことにも、世界中の人々に観て頂くことができたわけですけど、"クジに当たった"とか"ラッキーだった"と思う人もいるかもしれませんが、私はそうではないと思っています。

20年間、いろんな失敗をして、映画について理解を重ねてきた結果だと信じています。
モーツァルトのような5歳でシンフォニーを書ける天才は、ほとんどいないと私は思うんです。みんな努力を続けてきた結果、成功をつかみとったのだと思います。
もちろん、芽が出ない時期は大変でした。ただ、自分は創作に関わる仕事がしたい、と自分から映画監督という道へ進むことを決断しました。当然、それにはリスクが伴いますが、失敗を恐れるということはありませんでした。

小さい頃から、両親に"何事も簡単にはいかないのだから、努力をしなさい"と教えられてきたので、映画監督としての力を磨いていくことしか考えていませんでしたね。
だから、今後、大きな失敗をすることはもちろんあると思いますが、失敗しても映画監督を続けていきたいですね。私にとって、映画が成功するということよりも、映画を作っているときのほうが、非常に幸せなんです。それを今回の映画を作っているとき、気付かされました。

ですから、非常に挑戦的なテーマの映画を、恐怖を感じながら試行錯誤を繰り返して作っていく毎日が、私にとってはハッピーなんです。あまりにも楽なテーマであれば、それは、とてもつまらないものだと思います。

私が尊敬する映画監督には、まだまだ及ばない点がたくさんあります。彼らには、たとえ世間から失敗と呼ばれる作品があったとしても、また次の作品に期待し、映画館に足を運んでくれるファンを持っています。
「あの人の脳みそのなかでは、どんなことを考えているんだろう」と考えてくれるファンがいるんです。
そんなことを思ってもらえる監督になれるよう、今後も努力を続けていきたいですね。

撮影/弦巻 勝


コリン・トレボロウ

1976年サンフランシスコ生まれ。ニューヨーク大学で脚本を学んだのち、2012年に、長編作品『彼女はパートタイムトラベラー』で初めてメガホンをとった。同作品は、低予算ながらも斬新なストーリーに注目が集まり、新鋭監督の登竜門ともいえるサンダンス映画祭で高く評価された。スティーヴン・スピルバーグからも絶賛され、長編作品2作目にして、メガヒットシリーズの最新作である『ジュラシック・ワールド』の監督を務めるという大役を得る。

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