死亡者は年間約2000人! 秋に起こりやすい「咳ぜんそく」に注意の画像
死亡者は年間約2000人! 秋に起こりやすい「咳ぜんそく」に注意の画像

風邪は治ったはずなのに、咳だけが何週間もおさまらない……もしかしたら、「咳喘息(せきぜんそく)」かもしれません。

咳喘息は、慢性的に咳が続く気管支の病気。風邪に併発して起こることが多く、風邪をひいた後に2~3週間以上、咳が続くならばこの病気が疑われます。近年、患者は増加傾向にあるが、とくに気をつけたいのが「秋」。肺の内部にある気管支の内壁に炎症がおこり、ヒューヒュー、ゼーゼーと呼吸音(ぜいめい)がして息苦しくなるのが一般的な喘息で、咳喘息はその前段階にあたります。喘息のようなぜいめいや呼吸困難はないものの、気道が狭くなっているのでいろいろな刺激に対して過敏になり、炎症や咳の発作がおこりやすいのです。
たとえばダニ。高温多湿な夏に増殖したダニが秋に死骸になり、吸い込んでしまうことも一因になります。ダニやハウスダスト、カビなどでアレルギーを起こすことによって、気道が炎症をおこし、発作を誘発してしまうのです。

また、秋特有の気圧の変化や寒暖の差も原因の一つ。深夜や明け方に激しい咳が止まらなくなったり、台風が近づくと発作が出たりするのもこの病気の特徴です。長話をしたり、笑ったり運動したりしたときも、空気が口の中で温められず冷たいまま肺に入ってくるので、やはり咳き込みやすくなります。たばこや線香の煙、香水の匂いなども同様で、要は肺に入り込む空気が変化したとき、喘息の咳が出るのです。
痰や異物を肺から排除するのが咳の本来の役割。防御反応として仕方がないとはいえ、実はこの咳喘息、長引かせるとかなりやっかいです。進行すると、気管支の内壁がむくんで厚くなり、気道が細くなって呼吸困難に陥る……つまり、気管支喘息になってしまう。気管支喘息は完治が難しく、発症すれば一生付き合わざるをえません。とくに65歳以上は重篤になりやすく、死亡者は年間でなんと約2千人。咳喘息のおよそ30%が気管支喘息に移行するといわれているのです。

喘息への移行を食い止めるためには、早い段階での治療が肝心です。治療には気管支拡張薬(空気の通り道を広げる薬)や吸入・経口のステロイド薬を使い、数ヶ月間は続ける必要があります。症状が良くなったからといってすぐに治療を止めてしまうと再発する場合があるからです。
一度出ると止まらないような激しい咳が3週間以上続いたら、咳喘息を疑いましょう。呼吸器科・アレルギー科・耳鼻咽喉科などの専門医へ!

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