なぜ個人差が? 牛乳を飲むと「お腹ゴロゴロ」になってしまう理由の画像
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牛乳。言うまでもなく、牛の乳汁のこと。
たんぱく質やカルシウム、必須アミノ酸や脂肪といった栄養バランスに優れることから、老若男女を問わず日課として愛飲している人もいるのではないだろうか。

牛乳の歴史は古く、日本では飛鳥・奈良時代に大陸からもたらされたとか。当初は貴族用の飲料として広まったが、平安時代以降は仏教での殺生の禁止などで廃れることに……。

時代は流れ、江戸時代以降に近代酪農が始まり、開国後には外国人が増えたことによりニーズは右肩上がり。明治時代に入ってからは大衆の間にも普及し、北海道で大規模な酪農としての牛乳生産がスタートした。第二次世界大戦後にはアメリカの救援食料として脱脂粉乳が学校給食に導入され、牛乳は一般化するにいたったのだ。

一方、日本における牛乳消費料は1996年をピークに減少の一途を辿っている。1996年の201万キロリットルから1996年には505万キロリットルまで増えたが、2013年にはピーク時に比べて3割ダウンの350万キロリットルにまで減少した。背景には少子高齢化、飲料市場の多様化などが挙げられる。

こういった牛乳離れもあり、2006年には北海道で1000トンが廃棄されるといったケースも。食育の一貫として完全米飯給食を実施している新潟県三条市では「ご飯に合わない」という理由から、2学期から市内全小中学校で給食の牛乳を廃止することを決定した。

と、なにかと話題を振りまく牛乳だが、実際のところは好き嫌いがわかれる飲みモノ。毎日飲まないと気が済まないという人がいると思えば、「生臭い」「味が好きじゃない」という声もチラホラ。とりわけよく耳にするのが「お腹がゴロゴロするから」といった理由。これって確かによく聞くハナシだが……なぜ牛乳でお腹を壊すのだろうか。

その答えは、「個人の体質」によるもの、だ。「乳糖不耐症」と呼ぶそうだが、これに当たる人は牛乳を飲むことで、下痢や腹痛、腹部の膨満感といった症状を覚えるのだ。

そもそも牛乳には「乳糖」という多糖類が含まれ、人は「ラクターゼ」と呼ばれる腸内の乳糖分解酵素により多糖類である乳糖を単糖類に変化させ消化吸収を行っている。

ところが、ラクターゼの分泌量には個人差があり、まったくなかったり少量だと乳糖を分解できず、お腹が緩くなるなど乳糖不耐症の様々な症状を引き起こしてしまうというわけ。これが、お腹ゴロゴロの原因なのだ。ちなみに、牧畜や牛乳の歴史が浅い日本人は遺伝的に耐性が弱いのか、予備群を含めると乳糖不耐症の人が9割以上だとか! 

しかしながら、対処法がないわけではない。基本的に体内でラクターゼが足りていれば乳糖不耐症の症状は現れないので、自分の適量を確かめておけばいい。近年は乳糖を分解処理し、お腹が緩くならない牛乳も市販されているようだ。

また、冷やした牛乳は刺激が強いので、温めて飲むといった手もあるだろう。同じ乳製品でもヨーグルトやチーズは乳糖が少なめ。これらで代用というのも考えられる。他の食べ物と一緒に摂ることも効果的だそうだ。

牛乳はもっとも身近な健康食品ではあるが、お腹に不安があるなら気をつけること。通勤途中や商談中に体調を壊しては元も子もない。自分自身の合う合わないもチェックしつつ、上手に付き合っていこう。

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