あれは30年ほど前のことだろうか。“ミスター・テキトー”こと、いまや大活躍しているタレントTさんを、彼の新人時代に取材したことがある。場所は、表参道のとあるオシャレなパーラー。そこに一人で現れたTさんは、あの魅力的な笑顔で、こう言った。「あなた方に任せるから。書きたいように書いていいから」

 まさしく“ミスター・テキトー”! 著名人には、テレビでの印象とインタビューで会ったときの印象が異なる人がいるが、Tさんはまったく同じだった(実生活では違う面を見せるのかもしれないが)。“書きたいように書く”——それはとても難しいこと。というか、記者にとっては、ほとんど不可能に近い状況なのである。

 そこで、「そうもいきません。こちらが質問しますから、それに答えていただければありがたいのですが」と言うと、「じゃ、そうして」と言って、またあの魅力的な笑顔になった。ところが、質問を始めると、たわいないことについては明快に答えてくれるのだが、例えば、初恋の人との初めてのキスについてみたいな、本人が照れてしまう、やっかいな質問になると、「書きたいように書いて」と言葉を濁してしまう。それでも最後は、こちらの知りたいことはほとんど話していただいた。一見、“テキトー”だけど、こちらの知りたいことにちゃんと応えてくれたTさん。おそらく、テレビの前のファンや視聴者だけでなく、テレビや演劇の現場でもスタッフの心を掴んでいるのだろうと、そのとき思った——。

 さてさて、2015年に活躍し、ファンの心をしっかり掴んだ実力者9人が居並ぶ、KEIRINグランプリ2015が開催(12/28〜30=京王閣競輪場)。武田豊樹(茨城)、神山雄一郎(栃木)、平原康多(埼玉)らの関東勢が車券推理の核になる。だが、激戦が繰り広げられるグランプリだけに紛れもあると見て、このラインのほかに、新田祐大(福島)や浅井康太(三重)などの筋違いの選手を頭にした車券もありかも。

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