ジャニーズの強烈なファン、通称「ジャニヲタ」には独自の用語が多数存在する。一見するとどんな意味かわからないようなことでも、ヲタのあいだでは浸透している「共通語」だったりする。ちなみにジャニーズのヲタは「オリキ」と呼ばれる。力(リキ)が入った子、という意味だ。他にも当たり前に使われている単語として、Mステ(テレビ朝日系『ミュージックステーション』)、MJ(NHK『Music Jump』))、少クラ(NHK BSプレミア『ザ少年倶楽部』)、ジャニショ(ジャニーズショップ)、ジャニクラ(ジャニーズFC「ジャニーズ・ファミリークラブ」)、番協さん(同FCで応募するテレビの公開収録の番組協力者)などがある。テレビ番組と連動しているこれらのワードは、かなり昔から使われている。またライブでの必須アイテムは、お手製のうちわとライブごとに発売されるサイリウムだ。この2種類はもはや、定番といっていい。そうしてライブに参加することを「参戦」と呼ぶ。
ほかに80年代の少年隊から今年のタッキー&翼・今井翼の代まで続いたミュージカル『PLAYZONE』はプレゾン、Kis-My-Ft2・玉森裕太などのキャスティングで有名な『DREAM BOY』はドリボ、若いジャニーズによるファンミーティングイベントはファンミなどと呼ばれている。さらに、バクステはバックステージ、メンステはメインステージ、ムーステはムービングステージなど、コンサートのステージの呼び名も定着している。メインキャスト以外のジャニーズJr.を追う「青田買い」のオリキもいるため、彼等が活躍するステージごとの呼称も浸透しているわけだ。
オリキの常識である、固有のジャニーズアイドルファンは「○○担当」という。たとえば、嵐の松本潤のファンならば「松潤担当」などという。そして同じ人物が好きなファンのことは、「同担」と呼ぶ。推しているアイドルを替えるのは「推し変」、年齢層が若いグループに移る場合は「担降り」と呼ぶ。降りるというあたりがポイントだ。稀にある、嵐からSMAPに移動する「担上げ」の場合は、やはり「推し変」と呼ぶのがポピュラーだ。どんなアーティストのファンにも、そのコミュニティ独特の言い回しがあることだろう。だがオリキの絶対数が圧倒的に多いジャニーズファンは、おそらくどのアーティストのファンとも違った秩序と伝統を築き上げていると思われる。