『週刊文春』報道に端を発する、甘利明前経済再生担当大臣の現金授受問題。1月28日、甘利前大臣は、100万円の授受を認めて辞任を発表。幕引きを図ったが、いまだに騒動は収まりそうにない。「大臣やその秘書が現金を授受し、その音声や写真を残されるなんて前代未聞ですからね。一部業者への口利き疑惑の説明がいまだになされていないとして、国民から怒りの声が噴出しています」(政治部記者)
だが、この騒動に対して中国から意外な反応が。「たった100万円で辞任?」「面の皮が“薄すぎる”」など、まさかの意見が飛び交っているというのだ。「行政システムに多くの欠陥を抱える中国では、収賄や口利きは日常茶飯事。警察も賄賂なしでは一般市民の要望に応えてくれないケースもありますからね」(在北京記者)
実際、日本の政界を揺るがす“甘利スキャンダル”が、大陸では鼻で笑われるのも納得なほど、そのスケールは大きいという。「昨年12月には、地方都市の副市長が一人で112億円を不正に受け取っていたほか、その事件全体で450億円もの収賄が判明しています」(前同)
副市長は、中国で需要の大きい石炭事業で影響力があったとされるが、副市長レベルで100億円超えの汚職とは驚くばかり。さらにケタが違うのは、03年から10年まで首相を務めた温家宝氏。庶民派として国民に慕われた温元首相だが、「かつて米紙『ニューヨークタイムズ』は、温元首相の不正を告発。共産党指導部になってからだけでも、一族で2700億円もの不正蓄財をするほど、汚職に手を染めていたと報じました」(中国共産党研究者)
副市長で112億円、首相なら2700億円の汚職とは、“収賄天国”の面目躍如(?)だが、これらの巨額不正が霞むほどの汚職も14年に発生している。「共産党元最高幹部の周永康が“石油閥のドン”といわれる影響力を利用し、大企業から大金を授受。その押収総額は1兆5000億円で、使ってしまった金も合わせれば、汚職額は3兆円にも達するのではないかといわれています」(同)
そのため、習近平国家主席は「虎もハエも退治する」との表現で、汚職撲滅キャンペーンを進めているが、「一部の外国メディアは、その習主席本人が300億とも1000億ともいわれる大金を、家族名義で国外の銀行に蓄財していると報道しています。習主席の本来の年収は2000万円に達しないわけですから、もし、蓄財が事実なら、汚職に手を染めている可能性があります」(前同) 甘利元大臣のしたことは許されざる行為だが、中国から見るとあまりに規模が小さいかも?