「芸能人や文化人など、人気を集めている著名人には人格者が多い」というのが、長年、彼らをインタビューしてきたアタシの持論だ。芸能界を生き抜くためには、才能だけでなく周りの人を惹き付ける人格的な魅力が不可欠なのだろう。

 そんな彼らは何しろ人に対して優しい。今から三十数年前、歌手の谷村新司さんがそんな思いを強く抱かせてくれた。

 そのとき、アタシは駆け出しのフリーライター。とある月刊誌で毎月、芸能人インタビューのアポを取っていた。人数は月に5、6人ほど。彼らを先輩の記者と2人で分けてインタビューしていた。

 ところがある日、決まっていた芸能人から突然、インタビューをキャンセルされた。いわゆるドタキャンである。

 もちろん困った。その日のうちにもう一人、探さなくてはならなくなった。受けてくれそうなお笑い芸人さんたちに連絡を取ったが、なかなか決まらない。そこで思い当たったのが、その月のインタビューを一度断られてしまっていた谷村新司さんだった。

 マネージャーに電話を入れた。「実は今日明日のうちに、インタビューを終えないと、雑誌に穴があいてしまうのです」と必死に頼んだ。すると、「ちょっと待ってね。本人に聞いてみるから」との答え。そしてしばらくしたら、「谷村がいいといってます」という嬉しい返事。そして、その日のうちに谷村さんを無事に取材することができた。

 大物なのにもったいぶらずに快く引き受けてくれた谷村さん。世に打って出る人の真骨頂を見た思いがした。いまでもあのときの感謝の念は心に刻まれている。

 さて、ボートレーサーの中にも真面目な人格者は多いが、戸田ではG1レースが開催中だ。熱闘が予想される戸田プリムローズ開設59周年記念(3/3〜8)。注目選手はやはり、前節の住之江で苦汁を飲んだ関東のエース・山崎智也(群馬)だろう。しかし、初日のドリームレースではインコースから5着に敗退と、いいところを見せられなかった。

 そこで、熱く応援したいのが、桐生順平(埼玉)や峰竜太(佐賀)、茅原悠紀(岡山)らの若手たち。切れ味のいいターンスピードでファンを湧かせてほしい。

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