今から10年ほど前のこと。“昭和の大横綱”大鵬親方にインタビューさせてもらったことがある。親方がちょうど相撲博物館の館長を務めていた時期で、両国国技館内にある同博物館を訪ねて、話をうかがった。

 1960年代、“巨人・大鵬・卵焼き”という流行語が誕生するほど、親方は、子どもから大人まで、大勢のファンに愛されていた。アタシは当時、小学生低学年。相撲中継を見ながら、大好きな大鵬関を応援していた一人だった。

 親方は当時のままの穏やかな風貌をしていた。優しげな笑みを浮かべつつ、現役の頃の厳しい稽古のことを話してくれた。アタシのヒーローが目の前にいて、口を開いて質問に答えてくれたのだ。感激の瞬間だった。

 当時、大鵬関は稽古の鬼としても有名で、その「1日1000回のてっぽうと500回の四股」は、今でも力士たちの目標、あるいは憧れとして燦然と輝いている。インタビューでは、その稽古の話や王選手とのエピソードなどをゆっくり話してくれた。

 それから数年後の2008年、親方は、館長を辞任。その翌年、文化功労者に選出されるという角界初の栄誉も獲得し、その華やかな相撲人生に花を添えたのだった。

 さて、ボート界でレジェンドと呼ばれる人も数多いが、現役選手にしてすでにその風格を備えているのが山崎智也選手(群馬)ではなかろうか。2015年には笹川賞やグランプリなどSG3冠に輝き、同年の最優秀選手に選ばれた。そんなヒーローが地元・桐生で熱闘を見せる「G1ダイヤモンドカップ」が開催中だ。初日2日目に3連勝を飾るなど、山崎選手は実力のほどを見せつけているが、毒島誠選手(群馬)、桐生順平選手(埼玉)ら関東の若いライバルたちも元気。最終日(11日)まで気が抜けない闘いが続く。

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