夏目漱石の弟子で、黒沢明の映画『まあだだよ』のモデルになったのが内田百閒。この人は独特の金銭感覚を持った人でした。百閒は“文壇の借金王”といわれましたが、生活苦から金を借りたのではありません。ムダなことに金を使うことが好きだったようです。
暮らしぶりは倹約とか節約とは無縁。50円の月収があれば100円の生活をし、月収100円になれば200円の生活をするといった具合。5円を借りるために、往復10円のタクシー代を使ったりもしました。百閒は著書の中に、こんなことを書いています。
「一番いけないのは、必要なお金を借りようとする事である。借りられなければ困るし、貸さなければ腹が立つ。また同じいる金でも、その必要になった原因にも色々あって、道楽の挙句だとか、好きな女に入れ揚げた穴埋めなどというのは性質のいい方で、地道な生活の結果脚が出て家賃が溜まり、米屋に払えないというのは最もいけない」「放蕩したというのではなし、月給が少なくて生活費がかさんだというのでは、そんな金借りたって返せる見込みは初めから有りやせん」
そんな百閒が「借金の極致」と力説していたのは、どんな相手から金を借りることだった?
答え:借金で生活している貧乏仲間。
出題:浜川卓也