「宵越しの銭は持たない」は江戸っ子の気質を表す言葉。普通は江戸っ子のキップの良さを自慢するときに使われますが、実際にはそうせざるをえない事情があったようです。江戸庶民の多くは農村からやってきた“お上りさん”。裏長屋に住み、少ない稼ぎで、その日暮らしをするビンボー人でした。宵越しの銭は持ちたくても持てなかったのです。
また、火事の多さも蓄財意識をそぐ要因でした。急激に人口が増加した江戸では、狭い土地に密集して家が建てられました。それらの家は木と紙でできていて、照明は行灯やロウソク。誰かのちょっとした不注意で周りの家も、ときには江戸の大部分が燃えてしまいます。
金を貯めたり、高価な家財をそろえても、明日にはすべて灰になってしまうかもしれない。それなら、使えるうちにパッと使うほうがいい。そう考えるようになったのでしょう。記録を見ると、江戸の火事は大阪や京都と比べてケタ外れに多かったようです。江戸幕府が開かれた1603年から大政奉還される1867年までに、江戸では何回の火事が発生している?
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答え:(2)
出題:浜川卓也