お笑い芸人といえば本来、トークやモノマネなど優れた芸を持っているタレントだ。しかし、最近では笑いというよりも失笑を誘う、ポンコツな芸人が人気となっている。5月19日放送のバラエティ番組『アメトーーク!』(テレビ朝日系)では、「日本語がポンコツな芸人」が特集され、ダチョウ倶楽部の肥後克広(53)、出川哲朗(52)、ドランクドラゴンの鈴木拓(40)など、7人のポンコツ芸人が登場し、漢字書き取りテストなどでビックリな回答を連続。スタジオは大爆笑で、ネット上でも話題になった。
その中でも、ポンコツぶりが突出していたのが出川で、外国人が通う日本語学校に彼が潜入するコーナーでは、敬語の授業で逆に外国人から日本語を教わる事態になってしまった。出川といえば、他にもポンコツエピソードは数知れず、芸人の伝説をTwitterで収集している、お笑い芸人の東野幸治(48)によると、芸人の名前の言い間違えが多いという。板尾創路(52)のことを「板尾ひつじ」、俳優で長年の友人、入江雅人(53)を「リリエ」と発音したり、自身が立ち上げた「劇団シャララ」を、「劇団シャララララ」と「ラ」の数を増やしてしまったこともあったそうだ。また、彼は物を指したり人を指すとき、中指で指す癖があるのだが、なんと、ロケ先のニューヨークでも(卑猥で強烈な侮辱だと受け取られてしまうのに)中指で指し続けていた、という伝説もあるらしい。
出川と並び立つ、ハイレベルなポンコツが、ダチョウ倶楽部のリーダーである肥後だ。お笑い芸人の土田晃之(43)によると、ある飲み会でアニメ映画『崖の上のポニョ』の話題になったとき、肥後が「見たよ」と話題にノッてきて、「プーニョプニョプニョ♪」と歌いだした。土田はあえて訂正せず無視したが、「たけのこ♪(正しくは、さかなの子)」と歌い続けたため、我慢できずにツッコんだらしい。肥後は土田と有吉弘行(42)から「ヒゴンヌ」というあだ名をつけられおり、その由来は「(タレントの)スザンヌ(29)と同じくらいおバカだから」なんだそうだ。
また、『アメトーーク!』に出川や肥後とともに出演していた、ドランクドラゴンの鈴木拓も多くのポンコツエピソードを持っている。「打ち合わせ中に伸びをして非常ベルを押してしまった」「ファストフードで店内で食べるか持ち帰りかを聞かれ『どっちでもいいです』と言った」「ざる蕎麦をフーフーと冷ましてから食べ、周りから注意されてもそうしないと食べられない」「家の近所でキレイな鳥を見つけて追いかけているうちに、道路の段差に足を取られて腰の骨を折った」などなど。また、コンビではツッコミ担当なのに、トーク番組では立場が逆転してしまい、相方の塚地武雅(44)に何度もツッコまれている。同じポンコツでも、出川や上島たちと違うのは、他の芸人の悪口を言ったり、分かりやすい嘘をついたり、性格が悪いことだろうと、塚地は語っている。
アンジャッシュの児嶋一哉(43)も相当なポンコツで、5年前くらいから「ダメ芸人」キャラでバラエティ番組に登場することが増えている。実はあがり症らしく、人前に出ると喋れなくなってしまい、緊張でカンペが読めなかったり、一般人がボケてきても緊張で返せないことがある。また、極度の味覚オンチでもあり、昨年11月放送の『ポンコツ&さまぁ~ず』(テレビ東京系)のロケで、大衆食堂で徳島ラーメンを食べるシーンがあったのだが、店主が「とんこつ醤油味」だと説明したにも関わらず、児嶋は「うまい、みそラーメン」だと発言。スタジオでVTRを見ていた、さまぁ~ずの二人は呆れた様子で「ちょっと衝撃なんですけど」などとコメントしていた。
「ラーメン、つけ麺、僕イケメン」のギャグでお馴染みの狩野英孝(34)は、6股スキャンダル騒動など遊びグセの悪さが有名だが、ポンコツ芸人としても知られている。ネット配信番組の『狩野英孝の行くと死ぬかもしれない肝試し』という企画で、心霊スポットに霊能力者と潜入取材した時のこと。ゲストのアイドルが心霊に憑りつかれてしまうと、「僕の冠番組ですよね」と慌てふためき、スタッフから「なんか変化ある?」と聞かれても「痒いですね」と、的はずれな返事をしてしまっていた。
ポンコツとは“ウケる”か“ウケない”かは関係なく行動してしまう、「天然キャラ」とも言えるだろう。彼らが芸能界で生き残っているのは、もしかしたら、周りに関係なく自然体で通せてしまう、タフな性格であるからなのかもしれない。